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一次創作、時々版権ネタ。
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有志企画「Another War」のソロールをまとめました。
よその子との交流ロールはカットしています。
また一部、よその子の名前が出ている場面があります。
問題がありましたら記事を下げますのでご連絡ください。

一部編集済み。


(11/8 診断結果より)
金烏同盟からの使者との会談、との話だったが。
現れた文官は私の噂を聞いてやって来たと言い、同盟に加担することを勧めてきた。
曰くあなたは実力を重んじる同盟でこそ輝く逸材だ。
決して悪いようにはしない。今以上の待遇を約束しよう。
我が主たる君主もあなたと共に戦えることを望んでいると。

「あなたの名は、同盟の耳ざとい者なら皆知っておりますわ」
「そうか。私を高く買ってくれていることは光栄に思う」
「でしたら、私共と共においでくださいな」
文官が嫋やかに微笑む。私も表情を崩さず、机の下で隠し持っていた小刀を抜いた。
「私の答えは、これだ」

『こーえん もどってきた かいだん どうだった ?』
「……まあ!血だらけじゃないですか!いったい何があったんですか!?」
「安心しろ、私のじゃない。下劣な悪党に絡まれただけだ。返り討ちにしてやったが」


(11/9 昨日の後日談)

黄都に程近い街で、次なる行軍の準備をしていた時の事。
出かけていたはずの剣士が慌ただしく戻って来た。
『こーえん たいへん しゃんめい けんか してる』
かと思うと、私の袖を引きどこかへ連れて行く。
…シャンメイ、というと詩人の名だったか。

彼女とて誰彼構わず喧嘩を吹っかけるほど愚かではないはず。何があったと問う間もなく、外へと連れ出された。

剣士に手を引かれ来たのは人目につかない路地の隅。
吟遊詩人と、知らない声が言い争うのが聞こえる。
「私は家に戻る気はないと──」
「姉君が亡くなられたのですよ──」

「……お前、何をやっている」
詩人の後ろ姿を見つけて声を掛ければ、彼女はすぐさま飛んできた。
そして私の横に並び立ち、
「私は条約の軌跡を歌い継ぐ為生きると決めたのです。あの人にもそう伝えておきなさい」
毅然とした態度で詩人が言い放つと、口論の相手と思しき男は肩を落とし去っていった。

宿に戻る道すがら、詩人は街で騒ぎを起こした事を詫びた。
何があったと問えば、ぽつぽつと語り始める。
「あれは父の臣下です。父は同盟の君主だという話はしましたよね?
他の兄弟が家を継ぐというので、私は早くに家を出たのですが。
先日、文官であった姉が何者かに殺されたそうで」

『おねえさん いたの かわいそう』
「戦乱の世では仕方のないことです。それに、姉は父の言いなりでした。
和平交渉と騙って優秀な兵を呼び出し、言葉巧みに離反を唆すなどしょっちゅうでした。
きっとどこかで恨みを買ったのでしょう」
悪い人ではなかったのですが、と詩人は姉の死を悼むように目を伏せる。

だが次の瞬間には顔を上げて虚空を睨み、
「だからって、家を出た私に今すぐ戻ってこいとは虫が良すぎます!
優秀な文官を亡くして焦っているのかもしれませんが、誰が戻るものですか!
私は絶対に歳星条約を離れるつもりはありません!盟主様の行く末を見届けたいのです!」

鼻息荒く語る詩人に、私はある予感を持って尋ねた。
「その文官の姉というのは、具体的にどのような人間だ?」
「はい?そうですね、穏やかな気質で、仕草も美しい人でした。
私とは歳が離れていて……」
文官の特徴を聞くうち、予感は確信に変わった。
……間違いない。私に裏切りを勧め、殺した女だ。

あいつは何と言っていた?「我が君主も共に戦う事を望んでいる」と言ったはずだ。
文官の君主、つまりは詩人の父親か。
しかし奴の死体は確かに処理した。おそらく私が手を下したことには気付かれていない。
……これ以上、面倒な問題が出てこなければいいのだが。


(11/12 診断結果+よその子看取り?ロール)
「なんであんな無茶したんですか」
「何の話だ」
「とぼけないでください。今日の行軍の事ですよ」
いつものように詩人が睨みつける。
言葉に噛み付くような勢いはなく、しかし咎める口調で。

「コーエンさんが名誉を求めていることは知ってます。
でも、それ以上に兵士の安全を考えているじゃないですか。
特に最近は、犠牲を減らすようにって気をつけててたのに」
「お前、本気でそう思っていたのか」
わざと鼻で笑ってみせる。これもいつものことだ。
偽善者を気取って言いくるめれば方がつく。

「周囲を気遣ってみせたのは、私自身を良く見せるための演出に過ぎない。
兵士など元よりどうでも……」
「誤魔化さないでください。あなたは何を焦ってるんですか?」
「……は?」
いつもとは違う切り返しに思わず言葉に詰まる。適当に受け流すには不自然な間があく。

「2年近く一緒にいれば嫌でも分かるんですよ。
嘘をついてるとか、強がり言ってるとか。
見た目ほど善人じゃないけど、いうほど悪い人じゃないってことも」
「別に強がっているつもりはない。本当だ」
そして――認めたくはないが、詩人の言う事も当たっている。

私は言いようのない焦燥感にかられ、戦場に焦りや不安をぶつけていた。
……これは、ただの八つ当たりだ。分かっている。
他者の命を巻き込んだ、最低な八つ当たりだ。

――天魔の行方が分からなくなった。
元より何をしているのか分からない奴だったが。最後に会った後の足取りが掴めない。
何かしらの調査をしていた、罪人を追っていたという話もあるが。
いずれも憶測の域を出ない。

奴を探しているのには理由がある。
偶然見つけたアトラタンの記録。
かの大戦で暗躍した、パンドラと呼ばれるものの存在。
奴らを追った、我が姉弟子とも呼べる魔法師の末路。
……そして、あの天魔に似た邪紋使いがパンドラにいたという事。

少なくとも、名前からしてあの天魔がかの大陸と関りがあることは間違いないだろう。
奴がただの子供ではないことも知っている。
アトラタンの大戦を、パンドラを知っていても何らおかしくはない。
私は知りたい。パンドラのこと。奴らに関わって消えた魔法師、エールのこと。
――だというのに。

あの天魔に限って、失態を犯して殺されるなどあり得ない。
なのに何故消えた?ただ焦りだけが募る。

(ルシアよ、どうか生きていてくれ。
お前からパンドラのことを聞き出し、全て真実であった暁には――)


(11/14 診断結果より)

──兵士が目の前で倒れた時。考えるより先に自然と体が動いていた。
冷静に考えれば、おそらく助からないだろうと分かったはずなのに。
もう誰も失いたくはない、そんな思いに突き動かされるように。
血が流れ落ち熱が奪われゆくのを背に感じながら、彼を連れて戻ってきた。

結局、兵士は助からなった。
仲間の兵達は戦友の死を嘆き、彼を連れ帰った私に感謝の言葉を口にした。
彼は私を庇った為に死んだというのに。恨んではいないのか、と問おうとしてやめた。
代わりに彼の埋葬を手伝った。戦地でのこと、さして立派な墓は作れなかったが。

陽が落ち野営の準備を進める間も、私の気は晴れない。
その夜も、火の番をしながら自身の行動を確かめていった。
──感情に任せて動いたのはまずかったが、結果としては最善の選択をした筈だ。
我が身を挺して部下の命を救ったかの英雄のようにはいかなかったが、
こればかりは私だけの責任ではない。

少なくとも、人々を守る英雄でありたいというという目標には近づいた。
例えそれが計算づくで作り上げられた虚像であっても。
いつだって犠牲になるのは誠実で心優しい者ばかりだ。自身の師匠がそうであったように。

……もし、戦場で人を救い死ぬことが出来たなら。師や姉弟子の元にいけるだろうか。

炎の爆ぜる音で我に返った。
「……何を考えているんだ、私は」
首を振り、不穏な考えを頭から追い出す。行軍で疲れていたのかもしれない。
師の遺志と聖印を継いだ以上、思いを遂げるまで死んではいられない。
制定の星が現れるまで残り数ヶ月。それまでは、なんとしても生き延びなければ。


(11/17 診断結果より)

迂闊だった。判断の誤りを悔やんだが、最早どうにもならない。
散り散りになった友軍をかき集めて態勢を立て直すにしても、
まともに動けるものは残っていないだろう。
我々の部隊も全滅する前に退くしかない。そう覚悟を決めた瞬間。
突如、戦地に強い風が吹き抜けた。

その風は良く知る匂いがした。
異界の剣士が操る、混沌によらない魔法の匂いが。
見れば彼は敵陣の中に活路を開かんと、前線で剣を振るっていた。
――あいつは、敵の真っ只中を突破するつもりだ。
いるかも分からない生き残りの兵を救うために、自らを危険にさらすつもりか。

彼が狙う道筋は分かる。
友軍が最後の足掻きを続けていた箇所。そして奴らの守りが薄い個所を結んだ線。
もし敵中を突っ切るのであればここしかない、そう見当を付けていた。
危険な賭けだ。だが他ならぬ私の配下が、行けると判断した。
……ならば、彼を信じて乗るべきだろう。


(11/22 突発ソロール)
静かな夜の森に、焚火の音だけが響く。沈黙を破って口を開いたのは、若き詩人だった。
「戦争が終わったら、平和になるんでしょうか」
「どうだかな。盟主曰く、皇帝聖印の発現以降も混沌が絶えることはなかったという。
大陸統一による平穏も永遠には続かないだろう。」

だが選定の星が誰を選ぶとしても、大陸を統一する為の争いは止むだろう。
それを平和と呼べるかはともかく──と答えると、今度は剣士が尋ねた。
『こーえん せんそう おわったら どうする ?』
「先の事は分からない。今後のレリムア次第だ。
お前達こそ、もし戦争が終結したら何をする?」

「私は吟遊詩人ですから。この戦争で完成させた歌を語り継いでいきますよ。
性根がひねくれ曲がった英雄の話をね」
「性根曲がりはどっちだ」
『もとの せかい かえる ほうほう さがす』
「そうか、剣士さんは別の世界から来たんでしたっけ。
会えなくなるのは寂しいですけど、帰れるといいですね」

私も一度ぐらいは故郷に帰るべきでしょうか、と詩人がぼやくのを聞きながら。
私は黙って天を仰いだ。
――この先、百年に渡る戦争が終結したとして。
自分は、まず残党を処理したり混沌による騒動が収まるまでレリムアに残るだろう。
その後はどうしようか。また混沌災害に苦しむ別の土地へ行くのか。

……あるいは、彼らのように。一度アトラタンに戻るのもいいかもしれない。
過去に亡くした懐かしい者達の足跡を辿り、その後の変遷を知るのも悪くない。

選定の星が現れるまで残り数週間。全てに決着がつく日もそう遠くはない。
それが、どんな結末であろうと。


(11/23 診断結果より 一度HP0になるも後に回復を頂き生還)
「思いのほかしぶとい奴だ」
コーエンの睨む先には、炎を纏った巨大な虎の妖怪。
奴はまるで襲うことそのものを楽しんでいるようにも思えた。さながら人間のように。
名の知れた者も加勢しているし、自身の配下には援軍を呼びに行かせた。
そう厄介な相手ではないはずだ。

だが先の罠によって友軍の大半を失い、こちらも痛手を負っている。
……彼らが戻るまで持ちこたえるかどうか。
自身の弱気を覆い隠すように、自らの聖印を掲げて叫んだ。
「恐れるな!聖印はまだここにある!
お前達は、この程度の化け物に屈するほど軟弱ではないはずだ!」

輝く聖印に応えるように、俄かに部隊が活気付く。
……君主らしい立ち振る舞いは苦手だが、少しは彼らの士気を取り戻せただろうか。
しかし、聖印に力を感じたのは味方だけではないらしい。
燃え盛る妖虎の巨体が軽々と跳躍し、前方へ飛びかかる。
狙いはおそらく聖印と、それを持つ君主──つまりは自身だ。

「そう簡単に近づけると思うな」
光を宿した矢が立て続けに前足を射つ。さながら聖印を誇示するように。
虎の狙いは逸れ、傷を負った足を庇うように着地する。
直接の攻撃を避けることは出来たが、それでも弓矢で応戦するには近すぎる。
更に間合いを取るため次の矢をつがえた瞬間。

妖虎のひときわ長い咆哮が響き渡り、空気を震わせた。
同時に、奴の纏う炎がより勢いを増す。混沌が次々と収束し、無数の火の玉となる。
「──何を仕掛けるつもりだ」
咄嗟に標的を変えて矢を放てば、たちまち光の雨となり火をかき消す。
だが虎は目標が自分から逸れた、その僅かな隙を逃さなかった。

突如熱と共に身体が宙に浮き、地面に叩きつけられる。
激しい痛みが全身を駆け抜け、肉の焦げる匂いがした。
……何が起きた。奴は一瞬の隙をついて突進し、自分を跳ね飛ばしたのか。
焼けつくような痛みを堪えて身を起こすが、既に妖虎は眼前に迫っていた。

妖虎はコーエンの胴体に牙を立てて食らいつき、甚振るように数度首を振った。
動くたびに火の粉が散り、彼の髪や服を焦がす。
やがて獲物が動かなくなると興味をなくしたのか、焦げた身を投げ捨てた。
そして、残った兵を焼き尽くさんと再度跳躍する。


(11/29 エンディングロール)
戦争での功績が評価されたらしく、褒賞を貰えることになった――
と、青都からの使者から聞かされた。
傷も癒えてきたとはいえまだ動けるほどではなかったため、
向こうから出向いてきたらしい。
相応の領地を与える準備がある……という話は丁重に断り、
代わりに3つの願いを申し出た。

1つ。自身に割り振られる予定の土地や金品で、
ひとつでも多くの街に戦災孤児を保護するための施設を建てること。
2つ。施設の長には信頼のおける者を任命すること。
3つ。土地や建物の管理に関する一切の権利を施設の責任者に譲渡すること。
願いを聞いた使者は、前向きに検討する事を約束して去っていった。

「…で、貰った褒賞を孤児のために全部つぎ込んじゃったんですか」
「全てではない。一部は自身の資産として取り置いた」
『でも ほんとうに ちょっと だけ』
「正気ですか?」
――その数日後、希望がほぼ通ったと知らせを受けた後。
少年剣士は目を丸くし、吟遊詩人は大げさにため息をついた。

「戦場を駆けたのはあくまでも私自身の名を知らしめる為。
見返りを求めていたわけではない」
「ええ知ってますよ、名誉に固執してたのは知ってますけど!
これを機に領地を持って平穏に暮らすというのも」
「いかにも領主らしい振る舞いは性に合わない。
それに、土地に縛られれば旅ができないだろう」

「そんなことより、だ。お前達は何故まだいるんだ。
戦争が終結すればそれぞれの旅に出るはずではなかったか」
「あれから2人で相談したんです。
私も剣士さんも、コーエンさんも。
"多くの土地を旅したい"って点では目的が一致してますよね。
だったら一人旅より大勢で行く方がいいかと思って」

『だから これからも いっしょに いくことに した』
「全く…あれだけ悪態をついた相手と共に旅するとは。お前達こそ正気か」
「人の台詞を盗らないでください!」
言われたことをそっくりそのまま返せば、また詩人が騒ぎ立てる。
2年前から何ら変わらない、それでいて平和な日常の一幕だ。

……2人を止める気はなかった。
何を言ったところで、今更意思を曲げるような奴らではないことはよく知っている。
それに戦争の最中、彼らに幾度も助けられたのも事実だ。
なおも不満をぶつけてくる詩人に適当に相槌を打ちながら、
彼らとのやり取りを楽しんでいる自分に気づいた。

遠い昔。
異国から来た君主は、行く当ても居場所もなかった私に未来をくれた。
だから今度は、救いを求める子供に恩を送る番だ。
――私の聖印は思いを届けるもの。師の遺志を継ぎ、幸福を運ぶために。
いつか、今度こそ命が尽きるその日まで。

(……私は、あの日見た師匠に近づけただろうか)


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