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一次創作、時々版権ネタ。
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有志企画「未来世紀との遭遇」のソロールをまとめました。
よその子との交流ロールはカットしています。
また、投稿ミスにより一部のロールが抜けていたので補完しました。

一部編集済み。


(2/11 診断結果より)
「崖の上に小型の生体反応を多数確認!おそらく原住生物と思われ、いだだだだだ」
石の雨が鬱陶しくって報告もままならない。手で頭や目を庇いながら周囲の状況を探る。
『グロリア、銃で追い払えないのか?』
「出来るもんならとうの昔にやってる!」

ヴィートからの通信に、半ば叫ぶように返答する。
レーザー拡散系の付属装置は、ニューガイアの環境を傷つける可能性があるってんで
財団では自粛傾向にある。なのであたしも持ってきてない。
「班長、どうします!?これじゃ調査もへったくれもないですよ!」

「生物の嫌がらせじゃ、ただ待ってても収まらないかもね。急いで突破しちゃおう――」
班長が言い終わる前に、皆を先導して駆け出す。強行突破は得意だ。
何も考えなくていいし、とにかく突っ切ればそれで済むから。
ってか、とにかく痛い。早く逃げたい。


(2/11 オプション《試作ツール》取得ロール)
調査船の格納庫。
ここでは個人用の輸送船だとかを保管してる。あたしはあまり来ない場所だ。
「ヴィート、来たよ。なんでこんなとこまで呼び出したの」
電脳使いの名を呼ぶと、彼は偵察機の影から顔を出した。
「悪いな。C7にも聞かせたかったんだ。こいつにも関係ある話だから」

「シーセブンって?」
「こいつのことだよ。俺が乗ってる偵察機。正確には機体に積んでる制御AIだ」
そう言って機体を指でトントンと叩く。
確か、偵察機のAIはヴィートが造ったとかって記録にあったっけ。
ただの小型機のくせに人間の言葉を理解するほど高度なAIなんだろうか。

「そんで?話って何?」
改めて尋ねると、ヴィートはあたしに向き直って話し出した。
「近く、お前の身体機能を大幅にアップデートするっていうのは聞いたよな」
「ええ。定期検査のついでに機械部分の機能を強化するって」


定期検査も機械部分のアップデートも何度か経験してる。別に大したことじゃない。
ただ、今回はいつもよりも規模が大きいから数日ほど船に残ることになる。
もちろん、その間は調査開拓にも行けないわけで。
開拓班の人数が減って心配なのかと聞くと、彼は「そうじゃない」と首を振った。

「実はアップデートの一環で、C7とお前をリンクさせるプログラムを組み込む話が出てる。
具体的な説明は省略するが、C7は他の電子端末と接続することで情報支援が可能だ。
お前の人工頭脳とリンクすれば互いの索敵能力を向上させられる」
そこまで説明して、ヴィートは不意に顔を曇らせた。

「問題は、一度も人間相手に試してないことだ。どんな不具合が起きるか分からない。
お前にも危険が及ぶかもしれないし、断るならそれでも――」
「いいじゃん別に。それで大陸調査が楽になるんなら大歓迎よ」
難しい顔したヴィートに、被せるように賛成する。

「……本気か?」
「もちろんよ。索敵が足りなくて仲間が危ない目にあうよりマシだわ」
人の前に立って守るのがあたしの役目だ。多少のリスクなんて恐れてらんない。
そう言うと、ヴィートはしばらく黙ってたけど。やがてあたしの目を見て頷いた。

「分かった。技術班には俺から伝えておく。
アップデートの予定に関してはまた連絡が行くはずだ」
「了解。そん時はしばらく抜けることになるから、あたしの分も惑星調査よろしくね」
難しい顔したヴィートに、努めて軽く返した。


(2/12 診断結果より)
その日は別部隊との合同調査だった。
調査団以外の人達と組んでの探索ってことも、場所によっては時々あるわけで。
いつもの班員とは違うチームで移動する中、ヴィートが突然声を上げた。
『何だ?敵性反応1、人間か同等の大きさだ。グロリア、そっちで視認できるか?』

「敵?こっちには何も、」
言い終える前に強い敵性反応を察知。振り向きざま、レーザーブレードが耳をかすめる。
そこに立っていたのは他の調査員だ。
「ついに尻尾を出したな、裏切り者め!」
同時にブレードが振り下ろされる。横っ跳びに避け、状況を確認。
なんか調査員達に取り囲まれてる。

「なんて?裏切り者?」
「とぼけても無駄だ!
指揮官から聞いてんだよ。味方に成りすました別人が入り込んだってな」
「レーダーはお前に反応してる。お前が偽者だろう」
取り囲む人達から口々に責め立てられる。いずれも強い敵意を検知、と視界に表示される。
え、何?あたしが敵だって疑われてんの?

「違う、あたしは偽者じゃない!つか、偽者がいるなんて聞いてないんだけど!
ねえヴィート、何とか言ってやってよ!」
『レーダーの敵性反応が消えない……グロリアを敵と認識してる。
どうなってるんだ?』
「ヴィートまで!?」
顔から血の気が引く。ほら見ろ、と言わんばかりに調査員達が詰め寄る。

『落ち着け。グロリアが本物なのは分かってる。誰かにレーダーを操作されてるんだ』
「悪あがきはやめて素直に認めればどうだ!」
「だから違うってばー!」
ヴィートが班長に救援を求めるのを聞きながら調査員から逃げまどう。
――この不毛な追いかけっこは、うちの班長や他のオペレーターが駆けつけるまで続いた。

その後の調査で分かったこと。
裏切り者が入り込んだと彼らに指示したはずの"指揮官"こそが別人で、
本物は合同調査の前から拘束されてたらしい。
レーダーの誤認も、おそらく偽の"指揮官"かその仲間による工作だろうって。
向こうの調査員はちゃんと謝ってくれたけど、ものすごく疲れた1日だったわ。


(2/13 診断結果より)
「川がやばいから助けてって言われたから来たけど、何アレ」
『鱗を持つエイリアンか。敵意はないし、コロニーを守ろうとしているようだが』
「守るって言っても、あいつ1人じゃ無理があるでしょ。あたし達も手伝わなきゃ」

『行けるか?』
「うちの調査団は仕事を選べる立場じゃないし。
救援に来た以上、やるしかないじゃん」
『本音は?』
「無理やだ水怖い死んじゃう」
『だろうな。
奴の支援には俺が行くから、グロリアは班長と一緒に住人の避難誘導に行ってこい』
「マジごめん後はお願い」


(2/17 診断結果より)
突如、調査船内に警報音が鳴り響く。
発信源である船室に駆け付けた者達が見たのは、荒れた部屋とそこかしこに滲む血の跡。
そして――
「ふっざけんな!女子のプライベートエリアに忍び込むとか最っ低!」
服と髪を乱してキレるあたしと、踏まれて伸びてる侵入者だった。

「や、マジで変質者だと思ったんだって。賞金稼ぎって知ってたら素直に逃げてたわ」
……騒ぎから数十分後。あたしは医務室で手当てを受けていた。
大した怪我はしてないけど、殴られたり蹴られたり蹴り返したりしてたから一応ね。
ちなみに叩きのめした賞金稼ぎは別室で尋問されてる。

「失礼します。グロリア、賞金稼ぎに関する現時点での報告を持ってきた」
「ありがと。……ああ、違うんです。持ってきてってあたしが頼んだの」
ヴィートを咎めようとするセンセを止め、端末に報告書を転送してもらう。
中身は賞金稼ぎの簡単なデータと、尋問で判明したいくつかの情報みたいだ。

(雇い主は黒衣の人間。依頼はあたし、グロリアの殺害。
直接の接触はなく、やり取りはビデオメッセージのみ……か)
怪しい。怪しすぎる。どう考えてもヤバい筋からの依頼だ。
「今、詳しい情報を引き出そうと班員たちが頑張ってる。
賞金稼ぎはこれ以上は何も知らないと言い張ってるらしいが」

「うーん、本当に知らないんじゃない?
たぶんこいつと雇い主は関係ない。ただのチンピラもどきでしょ」
そう言って端末をしまう。
なぜそこまで断言できるのか、と言いたげなヴィートに続ける。
「昔ね、聞いたことがあんの。
星の愛教団の幹部クラスはみんな黒衣をまとってるって」

「教団の幹部?じゃあ教団の差し金ってことか」
「たぶんね。
幹部を騙った下っ端や、教団に見せかけた別人の仕業って線もあるけど。
奴らが絡んでる可能性が高いと思う」
黒衣の人間ってのも人っぽい形してたってだけで、
アンドロイドや三次元映像の可能性もあるし。断言はできない。

というか、何故わざわざ姿の見えるビデオメッセージを送ったのか。
自分とこの刺客じゃなく、情報が洩れる危険を冒してまで外部の半端者を雇ったのか。
教団にしては、"らしくない"やり口だ。
あたしが教団絡みの事件を調べてんのに気づいて、焦ってるんだろうか?

「ま、いいわ。ともかく、これで一つはっきりしたことがある。
教団はあたしを狙ってるんだ。
こりゃ、前の暗殺者襲撃や冤罪事件もあたしを貶めるのが目的かもね」
腫れた頬をさすって、にやりと笑った。


(2/18 《覚醒の証》取得ロール)
「グロリア。今度のメンテナンス、俺も技師としてとして参加することになった」
「定期検査って言ってくれない?メンテって言うと本物の機械みたいじゃん」
――母船のコモン・スペース。あたしは定期検査の為に数日の休暇をもらっていた。
何故か、ヴィートと一緒に。

「んで?なんであんたが参加するわけ」
「AI制作や制御の勉強になるかと思って、技術班に頼み込んだんだ。
それに、グロリアの延命と機械化には俺も関わってたし」
「えっマジで!?初耳なんだけど」
ソファに寝転んでたあたしは、がばっと身を起こす。

「言わなかったか?俺が非公開情報盗んで組合追い出されたって話。
その中に人格投射AIの資料も混じってたんだ。
……あからさまに嫌な顔するなよ」
「だってさぁ。AIやら何やらのおかげで生き返れたのはありがたいけど、
盗まれた技術であたしが造られてるって思うとなんか複雑じゃん」

「それは違う。俺がこの調査団に持ち込んだのはやり方の提案だけだ。
お前の命を繋いだのは紛れもなく財団の技術だよ」
ヴィートは苦笑混じりに言う。
機械技術を重要視しない財団で、あたしみたいなサイボーグが造られた理由。
その一端はこいつにあったみたいだ。

――それから数日後、定期検査は何事もなく終わった。
つか、検査中はずっと眠らされてるから実感ないんだけどさ。
ヴィートも何かと勉強になったって、
自作AIのメンテナンスに役立ちそうだって喜んでたらしい。
……ただ、あの話からちょっと気になってることがある。

なんで、ヴィートは人格投射AIなんて特異な資料を求めたんだろう。
それも、隠匿された情報を盗むなんて危険を冒してまで。
そして、なんで今になってAI制御の勉強がしたいなんて言って、
あたしの検査に参加したんだろう。
……うーん、深い意味はないのかな。考えすぎか。


(2/18 SP100突破記念)
調査船の通路で、あたしはチェーンの切れたペンダントを拾った。
ロケットっていうんだっけ、静止画を内蔵できるタイプだ。
「誰かの落とし物?どっかに名前とか書いてないかな」
逆さ向けてみたり、ひっくり返してみたり。中を開けて、はっと息をのんだ。

記録されていたのは、金髪の女の子。年の頃はあたしと同じか、少し下だろうか。
というか、目の色と髪の長さ以外はあたしそっくりだ。
「グロリア!この辺でペンダント見なかっ……」
ヴィートがこっちに駆け寄ってきて、あたしの手にあるものを見て止まった。

「何、これあんたの?ごめん、中に名前がないかと思って開けちゃったわ」
「中も見たのか。誰にも言うなよ、班長にも秘密にしてるんだから」
ヴィートにロケットを返す。さして怒ってる様子もない。
「この子は?」
「俺の友達。昔好きだった人だ。
ニューガイアの調査が始まったころに殺された」

好きな人が殺された。
重過ぎる台詞を、あっけらかんと言い放つ。
言葉を失うあたしに、ヴィートは続ける。
「犯人はまだ見つかってないけど、教団の仕業じゃないかって言われてる。
ちょうど、奴らの妨害工作が活発になり始めた時期だったからな」

「……悲しいとか、憎いとか。ないの」
やっとの思いで言葉を絞り出す。
「もちろん当時は恨んだよ。殺してやりたいと思った。
今も許せたとは言えないけど、犯人にはきちんと罪を償ってほしいと思ってる。
そうして、全部終わったら聞いてみたいんだ。
彼女を――シーナを殺した時、どんな気分だったか」

かける言葉が見つからないあたしに、ヴィートは肩をすくめて。
「妙な話を聞かせて悪かったな。ロケット、拾ってくれてありがとう」
そう言ってあたしの肩をたたき、来た方向に去っていった。
……残されたあたしは、しばらくその場から動けなかった。

あのロケットの女の子は、シーナは、あたしの妹だ。
教団の教義に染められて、あたしに殺された可哀そうな子。
まさか、こんなところであの子の名を聞くなんて思わなかった。

(ねえ、ヴィート。シーナを殺した犯人、あたしだよ)
彼がいなくなった通路を見つめて、心の中でつぶやいた。


(2/19 診断結果より)
「よっしヴィート、二手に分かれよう。
あんたはうちのセンセに連絡して、こっちに来てもらって。
それが出来たら、ここのお医者さんを手伝ったげて」
「お前はどうするんだ?」
「コロニーの後片付けに行かないと。急いで終わらせて、戻ったらこっちを手伝うわ」

それでいいですか、とお医者さんに向かって尋ねる。
「本当はすぐ休んでほしいんだけど、
私は力仕事担当だしこいつも大したことは出来ないので」
「調査団のドクターが来るまでは俺達が最大限フォローします。
なので無理しないで……ってこの状況じゃどうしようもないが。
あと少しだけお願いします」


(2/20 診断結果より)
不意に全ての音が消える。周りの風景が揺らぐ。驚きの声は、水泡になってのぼっていく。
──水の中にいる。
気づくと同時、背後に人の気配を感じた。

『逃がさないよ』

水中でも妙にはっきりと響く声。
聞き間違うはずもない。
妹だ。
あたしが殺したあの子の声だ。

『あなただけ生きてるなんて、許さない』

冷たい何かが背中にぴったりと寄り添い、耳元で囁く。

(これは幻だ。クラッキングで幻覚を見せられてるだけだ。
本当はなんてことない開拓地で立ち尽くしてるだけに違いない)
僅かに残った理性は恐怖に押し潰される。
息が出来ない。苦しい。誰か助けて──
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