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一次創作、時々版権ネタ。
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有志企画「Another War」のソロールをまとめました。
よその子との交流ロールはカットしています。
また一部、よその子の名前が出ている場面があります。
問題がありましたら記事を下げますのでご連絡ください。

一部編集済み。


(10/26 中休みロール1)

「前から言いたかったんですけど、なんで歳星条約にいるんですか?
実力を重んじる、裏切り上等なら同盟の方が合ってません?」
「裏切り上等とまでは言ってない」
大陸を覆う争いは一時収まったが、詩人との小競り合いは止まらない。

普段ならば適当にあしらって終わるのだが、その日は私からも尋ねたいことがあった。
「逆に問うが。お前達は、歳星条約や盟主の方針をどう思う。
私が条約の下にいるから従っているだけなのか。素直な意見を聞かせてほしい」
私が問うと、2人はそろって顔を見合わせる。
そういえば、面と向かって彼らの信念を尋ねるのは初めてだったか。

しばしの間があって、詩人が口を開く。
「私の父は金烏同盟に属していました。コーエンさんそっくりの野心家で。
配下も家族も、自身の力としか思ってないような奴だった。
だから、強い者にも弱い者にも等しく力を貸そうとする条約の盟主様は素晴らしいと思います」

「配下?お前、将軍の娘か。初耳だ」
「だって一度も聞かなかったじゃないですか!父は低位の君主、母は契約魔法師です」
そう語る詩人の顔は明るいとは言えない。
恵まれた地位にあった娘が何故吟遊詩人として戦場に立ったのか。
あまり気持ちの良い理由ではないだろう。

剣士はというと、覚えたばかりの言葉と身振りを交え『このまま ここ いたい』と答えた。
異界から来た彼にとって、生まれた土地を問わず受け入れる条約の他に
行く場所もないのだろう。
──自分達は話した。次はお前の番だ。
そう言いたげな剣士の瞳に、分かっていると小さく頷く。

「私の師匠は大工房同盟に属していた。
かつてはアトラタンの二大勢力とも言われたが、知っているか?」
「聞いたことはあります。金烏同盟と信念は似ていると聞きましたが」
ならなおのこと同盟にいるべきではないか、と言いたげな詩人に続ける。

「師は優しい人だった。ゆえに、実力と強かさを求められる同盟にいた。
自身の弱みを潰すために。
だから私は条約を選んだ。自分に足りないものを補うために」
「優しくないって自覚はあるんですね」
「否定はしないが一言余計だ」

「それに、私はこの大陸出身ではないからな。条約に身を寄せるのが一番都合が良かった」
──当然、"戦争を終結させるために大陸を統一する"という盟主の信念に
共感したというのも大きいが。
面と向かって優しくないと言い放つ彼女に、わざわざ明かす必要はないだろう。


(10/27 中休みロール2)
ある宿の夜。いつになく真剣な顔をした剣士に袖を引かれた。
『こーえん おれのこと どう おもう ?』
「どう、というと?」
喋れない彼と話すのは時間がかかる。そして今は休戦中だ、時間はたっぷりある。
椅子に座り、剣士にも適当なところに掛けるよう言った。

『にんげん ちがう ことば ちがう おかしい おもう?』
「生まれや種族の違いを気にしているのか?」
そう尋ねると控えめに頷いた。
なんとくだらない、と思わず本音が漏れる。しかし彼にとっては真剣な悩みなのだろう。
「心配せずとも、おかしいなどと思ったことは一度もない」

「まず、私だって大陸外の人間だ。次に、見た目や生まれでは相手の内面は分からない。
最後に、お前は私に付き従いよくやってくれている。お前を差別する必要がどこにある」
『こーえん よそもの ?
よそもの おかしい いわれた こと ある ?』
「もちろん、数えきれないほどあった」

初めてアトラタンに渡った時は師匠が守ってくれた。
レリムアに来てからは自分の力で黙らせてきた。
奴らは口先だけで何もしてこないし、気にするだけ無駄だ。好きに言わせておけばいい。
それが自分で出した結論だった。
そう語ると、剣士は顔をほころばせた。

『しゃんめい も こーえん も おかしい おもわない いった
ほかの やつら きにしない』
「シャンメイ?」
誰かと問えば、窓の外を指差した。そこには、楽器を片手に帰ってきた詩人の姿。
こちらに気づいたのか、窓越しに手を振り何か言っている。

「あいつ、シャンメイというのか。初めて聞いた」
『なかま なまえ しらなかった ? こーえん はくじょう』
「何を今更」
『なまえ しらない ひどい かわいそう』
「知らなくとも不自由は……。分かった、覚えるよう努力する」


(10/28 大戦場開始ロールと診断結果

鎮魂祭に現れた望まぬ乱入者によって、束の間の平穏は崩された。
これも混沌の影響によるものか。
それともアトラタンのように、この大陸にも平和を望まず戦乱を広げようとする者がいるのか……。
いや、考えていても仕方がない。

混乱の最中、指揮官を失った部隊と出会った。負傷により隊長が戦線を離脱したらしい。
隊長が復帰するまでの間一時的に指揮を取る、という内容で彼らと契約を結んだ。
どんな戦場であれやる事は同じだ。混沌を払い、相対する者を退ける。
……そう、覚悟を決めていたのだが。

現れたのは強大な投影体。
かつて皇帝が倒したはずの魔物が、どういうわけか再び我々の前に立ちはだかった。
即席の部隊がやり合って勝てる相手ではない、だが不死ではないことは皇帝が証明している。
──せめて、増援が来るまで持ちこたえなければ。


(10/30 診断結果より)

事の発端は、ある偵察兵の報告だった。
放棄された砦に異変が起きている。原因は不明。
現状では害がないようだが、かといって放っておけば後々障害になるかもしれない。
偵察兵の先導で、私はごく少人数──
つまりいつもの詩人と魔法剣士だけを連れて調査に向かった。

砦は非常に古いもので、中は静まり返っている。生き物や混沌の気配もない。
当初は警戒していたが調べるにつれて緊張感も緩みつつあった。
この分なら大した危険もないと予測し、効率よく調査を進めるために二手に分かれた。
──今思えば、これが最大の失策だった。

結論から言えば、同行していた偵察兵に嵌められ地下に閉じ込められた。
頑丈な石の牢は、かつては捕虜の収容に利用されていたのだろう。
そう簡単には内から破る事が出来なかった。
扉に穴を開けるのが先か私が力尽きるのが先かと思っていたが、
それより早く詩人達や他の兵士が助けに来た。

その詩人達はというと、一度は偵察兵に言いくるめられ砦を後にしたらしい。
しかし私が一向に戻らないことや、
何かと理由をつけて自分達を監視下に置こうとする行為に疑念を抱いた。
同じく違和感を覚えた別の兵達と相談し、彼らは監視の目を盗み再び砦へとたどり着いた。

閉じ込められてから助けが来るまでは何ヶ月にも感じられたが、
実際のところ3日もなかったらしい。
その間は裏切った兵士への執念で正気を保っていたといっても過言ではない。
奴が何を目的としていたのかはわからないし、知りたいとも思わない。
他の者達も見当がつかないと言っていた。

奴が一人で策を練ったのか、部隊全体で企てたのかはどうでもいい。
確実に言えるのは三つ。
この部隊とは長くとも残り1ヶ月の契約であるということ。
その間、向こうが歯向かわない限りこちらも味方として接するということ。
そして──裏切り行為など考えなければ奴も長生きできたろうということだ。


(11/1 中休みロール3)

私の最も古い記憶は、そびえ立つ高い塀を見上げている場面から始まる。
一部が崩れて穴が空いており、後ろからは早く逃げろと急かす女の声がする。
言われるがまま塀をくぐり、外へ抜け出た。
今思えばあの声は母親で、私は奴隷か捕虜の子供だったのだろう。

親も家も、金もない子供が生きていく方法など限られている。
殺しこそしなかったがそれ以外は何でもやった。
そんな私が何故君主として生きているのか。ひとえに運が良かったとしか言いようがない。
最も大きな転機は、師匠と崇める先代の君主に出会えたことだ。

あのお人好しで物好きな君主と出会った時、何を話したのかは記憶にない。
ただ覚えているのは「金は無いが未来は保証する」という一言。
言葉の意味は分からなかったが、ただ食料と寝所がもらえるならとついて行った。
そして彼は、言葉通り私に未来をくれた。

師匠と共にアトラタンに渡った私は、
言葉や作法をはじめ人間らしく生きる術を叩き込まれた。
師は名前のなかった私を雛鳥と呼んで可愛がり、遠征に行く時も必ず連れ出してくれた。
成長してからは彼の従者として働く傍ら弓術も教わり、師の元で10年近く過ごした。

アトラタンの大戦が激しさを増していったある日。生涯2度目の転機を迎える。
私はその頃16になっていて、弓兵として師と共に戦場に立っていた。
戦場より帰還し師の邸宅に着いた直後。
師匠に呼ばれた私は、そこで信じがたいことを告げられた。
──自領の民が師匠を狙っている、と密告があったと。

目当てはおそらく師匠の聖印。師を快く思わない者、近隣を治める君主の差し金だろう。
私は驚いた。隣接している領地はいずれも同盟関係にある。
まさか味方に襲われるなど考えたこともなかった。
狼狽える私に、師は冷静に告げた。
お前に聖印を託す、自分が時間を稼ぐからなるべく遠くへ逃げろと。

自身を裏切り、領民を利用する者に聖印を渡したくはない。
かといって逃げれば無関係な民が蹂躙されるとも限らない。
何より、内輪で揉めれば必ず敵に付け込まれる。
だから今は向こうの策に乗る。それが領民にとって最善だと判断した。
そして、いつか大戦が終わった時に領地を取り戻してほしい。

そんな方法が最善なわけがないと思った。だが他の策など思いつかなかった。
私は人目を盗み裏庭から外に出た。聖印と、師から譲り受けた弓を隠し持って。
別れ際に師匠は言った。
いずれはお前に聖印を継がせるつもりであった、こんな形になって申し訳ない。
叶うなら、民に幸福を運ぶ渡り鳥になってほしいと。

それからは追っ手に狙われないよう身分を隠しながら旅を続けた。
聖印と共に贈られた、"コーエン"という名を名乗って。
領地に戻ることはなかった。
師匠を狙ったのは君主ではなく、領民が主導して画策したものだと聞いた為だ。
師匠を裏切った者の顛末などどうでも良かった。

そして、私は今レリムアにいる。
師匠の遺志を継ぎ、人々に思いを届ける為に。
戦争で名をあげ、"戦えない者の為に戦う英雄がいる"と世に知らしめるために。
混沌を払い、戦争を終わらせて大陸を平和にするために。
──人々の元に幸福を運ぶ渡り鳥になるために。


(11/7 診断結果+SP200突破記念)

<ある軍師の記録>
行軍の最中、長い髪の旅人に出会った。
聞けば同じ歳星条約に属しているらしく、しばらく我々の部隊に同行したいと申し出た。
たかが旅の者達が加わったところで戦力に変わりはないだろうが、
かといって特に拒む理由もない。
部隊長の意向でしばし行動を共にすることとなった。

旅人は温厚な人物であったが、目の奥はどこか冷たい。
また異国人の少年剣士と、若い吟遊詩人をそれぞれ着き従えていた。
少年は口数は少ないもののすぐに打ち解けたし、
また異国の魔法や剣の腕には目を見張るものがあった。
吟遊詩人は性根の明るい娘で、しばし旅人と口論になるのが見受けられた。

彼らに出会ってから数日後、友軍と共にある激戦区に駆けつけた。
条約の軍勢は押されており、さらに前線で指揮を執るのは我らが盟主ではないか。
すぐにでも援護に行かなければ、逸る兵達を旅人が制して言った。
正面からぶつかり合えば無駄に消耗するのみ、ここは背後に回り込み攻めるべきだと。

余所者に指示されるいわれはない、といきり立つ兵もいた。
しかし自分も同意見であったし、隊長も彼の提案に乗った。
かくして敵の軍が眼前の友軍を相手にする間に回り込み、
挟み撃ちにする格好で一気に攻めこんだ。

──そしてあの時、後方にいた我々は見た。輝く聖印を弓に宿した旅人の姿を。

特定の土地を持たぬ放浪の君主は少なくはない。
条約にもかような者がいるとは聞いていたが、彼もその一人だったとは。
もっと早く気付くべきだったと悔やむ傍らで、吟遊詩人が言った。
「あの人は、性格こそ最悪ですが実力は本物です。
必ず私達と盟主様を勝利に導きますからご安心ください」と。

事実、彼女の言う通りであった。
我々の加勢により条約は攻勢に転じ、見事に敵の軍勢を退けたのだ。
盟主を助けることができた、という事実を我々は誇らしく思った。
隊長や件の旅人、もとい弓の君主などは盟主直々に声を掛けてもらうのを見た。

偶然同行しただけの君主が感謝されたのが面白くないのか、
我々の手柄を自分の物のように語ると陰口を叩く者もいたが。
彼の立案や援護によって損害を減らせたのは事実だ。
当の君主はというと称えられても喧嘩を売られても気にせず、
相変わらず一介の兵士と同じように振舞っていた。

その後は各地で数度の小競り合いがあったものの、特筆すべき事柄はなく。
君主達とは半月ほど行動を共にして、とある街で別れた。
別れ際、感謝と親愛の意を込めてこう言った。
あなたに出会えたことは我が部隊にとっても幸運だった。
あなたはより良き運を呼び、幸せを運ぶ渡り鳥のようだと。

……少々大げさだが、おそらく二度と会わないのだから構わないだろう。
彼もただの空世辞と流してくれるだろうと思ったが。
君主はきょとんとした顔をして、そして「ありがとう」と目を細めた。
彼が初めて見せた、心からの笑顔であった。


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