一次創作、時々版権ネタ。
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のんたわと英雄RPGの、140字を余裕でこえてしまった短文。
のんたわの分はツイッターにもあげてます。
のんたわの分はツイッターにもあげてます。
その日私はいつものように、机に向かっていた。
昼下がりの穏やかな光が、広げた教本の上で踊る。
小さな男の子が寄ってきて、私が書き上げたばかりのノートを見つめた。
『スズ姉ちゃんは、いつも難しい勉強してるんだね』
『難しくないよ。あなたもいつかできるようになるよ』
「……で、どうだった?」
「小さい男の子がいた」
――失くした思い出を探す異本。
もしかしたら私の失くした記憶が見つかるんじゃないかと、表紙をめくった。
読み進めるうちに見えたのは、全く覚えのない光景。
現実の記憶とも、無意識のうちに描いた空想とも判断がつかなかった。
「そんな顔するなよ。焦らなくても、そのうち思い出せるって」
よっぽど落胆が顔に出ていたのか、ジニアが明るく励ましてくれた。
……彼だけに同行を頼んだのは正解だった。
人によっては、二度と手に入らないものを思い出す苦痛を味わう羽目になる。
ジニアには悪いけど、彼は痛みを隠すのが得意だ。
きっと誰にも心配はかけないだろう。
「おかえりなさい!聞きましたよ、今回も成功だったらしいですね」
「……ただいま」
アンナが聖域の探索から帰還すると、すぐに後輩が寄ってきた。
誰に何を吹き込まれたのかは知らないが、さして大した相手ではなかった。
そう素直に告げたが彼は首を振り、
「十分すごいですよ。あの深さまで到達したのは初めてでしょう?」
「まあね。でも別に、難しいことはなかったわ。あなたもいつか行けるようになるわよ」
「……だといいんですけど」
そう言って寂しげに笑った。
意味ありげな言葉が気にかかる。
何かあるなら言え、とアンナは黙って先を促した。
「昔、ある人に同じことを言われました。こんなものは難しくないと。
俺もいつか魔法が使えるようになると」
結果は見ての通りです、と肩をすくめた。
「望みを持ち続けるというのは、時に残酷な行為ですよ」
「そうかもしれない。でも、私は諦めないわ。望みを捨てたら、そこで終わりだもの」
「……諦めない、ですか。あなたは強い人ですね」
ソーマはそう呟くように言った。
彼の妙にひねた言いぐさは、きっと本心ではないのだろう。
ただ、素直に伝える術を知らないだけで。
全く面倒な奴、と小さくため息をついた。
スズリとソーマの過去設定を掘り下げたかった。2人ともいとこ同士です。
今は訳あってスズリが子供の姿に退化してるけど、本当はソーマの方が年下。
あとはここ最近の黄昏の聖域探索が、
パーティ半壊でスタミナが尽き失敗(ランク3/ソーマ派遣)
→全滅で失敗(同じく)→成功(ランク4/アンナ派遣) と続いたので
その辺のネタも含めて。
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