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一次創作、時々版権ネタ。
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リプレイの感想(微ネタバレ):
題材が題材なので、ある意味夏向けのシナリオかと思ってプレイしたのですが
その辺を深く掘り下げる余裕はありませんでした。
またPCの個性や設定を活かした描写も、もっと盛り込みたかった。
良かったことといえば、
某所のおかげでグロ描写だけは抵抗なくすらすら書けたことでしょうか。
ちなみに、シナリオ演出の都合上一部PCの順番を入れ替えています。

ネタバレ、スクショ大量につきご注意ください。

宿に帰還して2週間あまりが過ぎた。
冒険者たちが暇に任せていつものように不毛な時間を潰していると、
いつぞやの宿の娘が宿を訪れてきた。
イルマと名乗った娘は勝手に椅子を引き、冒険者たちに尋ねた。



イズミ「ああ、ゴブリン退治の」
イルマ「その時に何か、変わったことはなかったかしら?」

その物言いに不穏なものを感じ取り、イズミは黙って続きを促した。

イルマ「ここだけの話なんだけど、あの村……イーノックと連絡がつかないのよ」
イズミ「連絡が?」
イルマ「あの村へは月に一度行商人が通ってるけど、
先週行った時は村が無人だったって言うのよね。
村の人もたまたま何かの都合で外していたのかもしれないけど……胸騒ぎがしてね」

冒険者たちは黙って視線を見交わす。
心当たりと言われれば、ひとつだけ頭の中に浮かぶ光景がある。……しかし。

イルマ「最後にあの村に行ったのはあなた達だから、
何か知ってるんじゃないかと思って来たんだけど。その様子じゃ、どうやら空振りみたいね」

イルマはそれだけ言うと、来た時と同じように黙って席を立った。
彼女が去った後、一座を重い沈黙が包んだ。

イズミ「……皆、どう思う?」
アッシュ「どうって……」
メロ「皆さんも、分かっているのでしょう。石棺に収められていた、あの異質な死骸。
未だ死にきれぬ不死者という可能性が浮上しました」
シュライ「傍らに新鮮な妖魔の血肉、俺達が残した血の足跡。小さな田舎の村」
ウォルト「つまり不死者が妖魔の血で命を繋ぎ、
血の臭いを辿って新しい獲物を探しにいった……。
……俺達があの村に行ったせいで、石棺を開けたせいで、村の人達は」
キャリー「やめてよ!だって、そんなの……そんなことって……!」

ウォルトの台詞をキャリーがさえぎる。
口にしないだけで、誰もが考えていた。自分たちがしたことの可能性について。

イズミ「落ち着け。まだそうと決まったわけじゃない。直接行って確かめよう。
ただ間が悪かっただけで、村人たちはきっと元気だ。そうに決まってる」

あとは無言で旅装を整え、宿を発った。


遠目に見る村には、動く人影も見当たらない。
そよぐ風に乗って嫌な臭いがが運ばれてくる。
……死臭だ。

村は動くものの気配がなく、うんざりするほどの死臭に満ちている。
まばらに建っている人家の中には、
あの日の宴で顔を合わせた村人たちの死骸が点々と転がっている。



……最後に依頼主の老人を訪ねたが、
とうとう村の生き残りを見つけることは出来なかった。

イズミ「村人は全滅か。なんてことだ……!」
キャリー「どうしよう、私達のせいで、みんなが……村のみんなが……」

キャリーが泣きそうな声を上げ、イズミも静かに俯いた。
恐れていた事態が現実になり、重苦しい空気に包まれる中で
メロがいつもと変わらない口調で問いかけた。

メロ「どうするんですか?旧文明期の不死者だとすれば、私達でも荷の重い相手ですよ。
聖北教会に通報するか、完全に恢復する前に私達でけりをつけるか……」
ウォルト「……お前、こんな時によくそんなに冷静でいられるな。
俺達のせいで無関係な人が大勢死んだんだぞ!」

ウォルトが苛立ちを抑えきれない声で詰る。
それに全く動じることもなく、アッシュは冷たく言い放った。

アッシュ「自惚れんな。あの時点で何ができた?
俺達は常に完璧な判断を下せるわけじゃねえ。思いあがるのもいい加減にしろよ」
キャリー「で、でも、私達があそこに行ったから……!」
アッシュ「どのみち依頼を受けなけりゃ冬にみんな死んでたろうよ。
それよりも今すべきなのは、この先どうするかを考えることじゃねえのか?」
シュライ「リーダー。これ以上時間を無駄にするわけにはいかない。すぐに決断してくれ」

未だ納得のいかない2人を置いて、黙ったままのイズミの顔を伺う。
彼女は握っていた拳をほどき……

イズミ「許せるわけないだろう!」

バン、と力いっぱい机をたたいた。

イズミ「不死者が何だ!散々この私を馬鹿にして、無事でいられると思うな!
私を欺き村人を殺した罪、あやつの命を以て償わせなければ気が済まん!」

キャリー「え、い、イズミ……?」
アッシュ「こいつが一番駄目じゃねえか。その場の感情に流されて、現実が見えちゃいねえ」
イズミ「何とでも言うがいい!人間の怒り、思い知らせてやる!」
ウォルト「俺も行くよ。元より、一人でも行くつもりだったからな」
キャリー「じゃあ、私も。いつまでも泣いてばっかりいられないもんね」
アッシュ「だったら俺も付き合おう。こいつらに任せたらキャリーが見殺しにされちまう」
メロ「……マスター、いかがいたします?」

次々に賛同の声を上げる仲間を見て、シュライは黙って肩をすくめた。
彼らが言い出したら聞かないことは、これまでの経験からよく知っている。


冒険者たちは洞窟を目指し、再び山に入った。
件の洞窟に近づくたびに、腰に吊った剣の震えが一層増していく。
イズミは洞窟の中での不死者との遭遇に確信を持ち、
腹の底が冷える思いを味わった。

洞窟の中、その奥の遺跡も前と変わった様子は見られない。
冒険者たちはほとんど言葉を交わすこともなく、
不死者の姿を探して奥へと進んでいった。




「君も私もすでに戦死公報が出ている。一度は死んだ人間だ。
分かっているのか?戦争が終わったところで、今更帰る日常など存在しない。
この上は米軍との戦いに身を投じ、戦って、戦って、戦い抜いて死ぬよりほかに道はない」
「私もそれだけを考えて今日まで生きてきたつもりです。
しかし、いかに理不尽であっても軍人は命令に忠実であるべきです」
「君は優秀な副官だったが、最後の最後で意見が分かれたな」
「……残念です」




混濁した意識が、覚醒する。
まどろみの中で見た夢の景色は、指の間からこぼれる砂のように消え去り
後にはかび臭い空気と呆れるほどの殺風景だけが残される。
……いつの間にか世界は一変し、自分は最も滑稽極まりない存在に成り果てていた。
彼は殺し損ね、私は死に損ねたあげく永遠に忘れ去られた。
その結果がどうやらこの境遇らしい。

どれほどの時間することなく、闇の中に佇んでいただろうか。
不意に乱暴な靴音が耳をそばだてさせた。
やがて足音の主が闇の中から次々に現れる。

イズミ「ふもとの村を襲ったのは、貴様か」
?「……そのようだ」
イズミ「貴様が何者かは知らぬが、筋を通させてもらおう」

外套に覆われていたカンテラがさらけ出され、灯りが彼我の姿を照らし出す。
瞬間、殺気のこもった視線が交錯し男の顔に喜色が浮かんだ。



アッシュ「くそっ、完全にいかれてやがる!」
イズミ「化け物め、報いを受けるがいい!」



真っ先に剣を抜き、斬りかかろうとするイズミをウォルトが引き止める。

ウォルト「待て、あいつは銃を持ってる!うかつに近づくのは危険だ!」
イズミ「そうは言うが、近寄らなければ斬れんぞ!」
アッシュ「だったら近れるように援護しやがれ!
メロやシュライは遠方から攻撃すればいいが、俺達はそうもいかねえ」
ウォルト「簡単に言いやがって……!」

悪態をつきながらも2人が標的にならないよう牽制し、
狙撃を掻い潜ってイズミが前に出る。



魔剣が男の胸を刺し貫き、貫通した刃が背後の石壁を穿った。
さらに首を撥ねようと引き抜きかけたとき、
男の身体は細かな塵になって床に崩れ落ちた。

……ふと見れば、いつの間にかイズミの自慢の剣は
黒くボロボロに錆び果てている。
イズミは、見る影もなくなった墓標代わりに突き立てた。



ウォルト「……今更取り返しのつくことでもないが、俺達にできることはした。
死んだ村の人々も、少しはあの世で溜飲を下げてくれるだろうか」
イズミ「さあな。しかし、やることはまだ残っているぞ」




冒険者たちはイーノック村への途上、二つの山の間を流れる小川のほとりに寄った。
イズミは川べりに膝をつき、不死者の塵を清流へと流す。
塵はしばらく浮き沈みしていたが、やがて流れに呑まれて見えなくなった。

イズミ「……復讐の代価として死を与えたつもりだった」
ウォルト「?……ああ」
イズミ「だが最後の瞬間、奴は満足げな顔をしていた。まるで望みのものを得たような。
……これでは、報復にならないではないか」
ウォルト「じゃあ、討たなかったらよかったか?」
イズミ「そうではない。結局、どんな選択をしても釈然としない思いを抱えていたのだろう」

だが、と立ち上がって言った。

イズミ「結果はどうであっても、これが私の選んだ道だ。
私と村人達の雪辱は果たした。それで良かったんだ」

半ば自分に言い聞かせるような口調で、しかしその目に迷いはなかった。

……不死者の塵を完全に川に流し終えると、冒険者たちはイーノック村へと向かった。
村人の埋葬と、冥福を祈るために――

東洋+古代遺跡でPCの設定を全面的に生かせるチャンスだったのに、
全然それっぽい描写を入れられなかったのが反省点。
その代わりと言ってはなんですが、
自分達の失態に対してどう対処するか?という反応は上手く書けたと自画自賛しています。

イズミ:物事の悪い面を考えない、という意味での楽観的。
プライドが高いので自分の失敗が認められず責任転嫁する。
はた迷惑だが精神的に折れにくい。
アッシュ:自分の失敗を受け止めて、次にどうするかを考える。
人間に対しての失敗は全く気に留めないが、相手が自分よりも弱い者なら多少は反省する。
キャリー:些細なことでも自分を追い詰めてしまう。弱メンタル。
ウォルト:本来はやや引きずりながらも、きちんと次のことを考えられる。
ただし、非力な人間や味方を守れなかった時はものすごく自分を責める。
加えて他人を頼りたがらない(心の闇:臆病と孤独)なのでドツボにハマる。
メロ、シュライ:全く動じない。まずこれ以上被害を広げないための策を考える。
ただメロは全てを終えてから自分の失敗について後悔する。
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