一次創作、時々版権ネタ。
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推奨レベル5~6
ネタバレなしの感想:
人外PCの台詞がいちいちかっこいい。
幅広い種族に対応しているのでニヤニヤが止まりません。
(私は見てないんですがダンピールや幽霊にも対応してるとか。いつかやろう)
ネタバレ・スクショ大量につきご注意ください。
ネタバレなしの感想:
人外PCの台詞がいちいちかっこいい。
幅広い種族に対応しているのでニヤニヤが止まりません。
(私は見てないんですがダンピールや幽霊にも対応してるとか。いつかやろう)
ネタバレ・スクショ大量につきご注意ください。
冒険者の前に、姿消しの魔法を解除したエルフが姿を現した。
その手は矢をつがえた弓を引き絞ろうとしている――
それが放たれる直前、一行は左右に分かれ予め目を付けていた遮蔽物の陰に跳ぶ。
すかさず冒険者にとって有利な間合いまで詰め、反撃に出る。
最初の一射を避けられて動揺したエルフもすぐに立て直して応戦するが、
こちらの策が僅かに上手だったようだ。
「――争いを止めろ。双方、武器を引いて私の話を聞くのだ!」
勝利を確信したドロシーの前に、一人のエルフが割り込んできた。
セアンと名乗ったエルフは他のエルフたちにも謝るよう促すと、
彼らも弓を下ろして謝罪するような様子を見せた。
ドロシー「何が起きているのかよく分かりませんが……
ともかく、こちらに悪意がないことは伝わったのでしょうか」
ミアト「エルフの言葉……何を言ってるのかは、分からないけど……。
でも、セアン……さん?には、こちらの言葉も、通じるみたい」
ソニア「言葉は通じても状況が分からないんじゃ意味ないよ。わかるように説明してくれない?」
セアンは冒険者たちの傷を治しつつ、小屋から出てきたロークにも説明してくれた。
あの若いエルフたちは、ロークが自分たちに危害を与えるために
冒険者を雇ったのだと勘違いしたらしい。
ロークの精霊に関する実験はエルフにとっても得体がしれず、警戒していたのだという。
セアン「エルフと争うために来たのではないとわかれば、相談したいことがある――
つまり、依頼があるのだ」
ミアト「依頼、って……いや、今は無理……」
エゼル「まあ待て。話だけでも聞こう」
セアン「この山岳地帯には精霊力の異常な場所が多くあり、時折狂った精霊が生み出される。
その狂った精霊の討伐を、そなたらに手伝ってほしい」
ソニア「なんでそれを?まさか、ずっと見てたとか?」
エゼル「さすがにそれはないだろう。精霊の異変を察知したんじゃないのか」
セアン「狂った精霊の討伐を手伝ってくれるなら、我々もそなたらの仲間の治療に手を貸そう。
我々なら一刻あれば薬の材料も揃えられるし、高熱の患者に熱さましの魔法もかけられる」
ドロシー「……わかりました。ここでお会いしたのも何かの縁です。
私達は見ての通り万全の状態ではありませんが、力をお貸しします」
ミアト「えっ……依頼、受けるの?」
ドロシー「困っている人を見捨てるわけにはいきません。それに、イヴァンならこう言います。
……やれるだけのことはやろう。少しでも希望があるなら諦めたくはない、って」
ソニア「依頼を受けるならそれでもいいけど、報酬は?タダ働きはごめんだからね」
エゼル「仲間の命がかかっているのに、自分の儲けを優先するか。しかし一理あるな。
……セアンさん。依頼は受けるが、報酬について交渉させてくれないか」
ソニアとエゼルが交渉に乗り出すのを横目に見て、
ラルフは深いため息をついた。
ラルフ「この状況下でも報酬の交渉か、あいつら。恐ろしく冷静だな」
ミアト「……イヴァンが心配じゃ、ないの……?」
ラルフ「いや、心配かどうかは関係ねえだろ。冒険者としてすべきことをしてるだけだ。
その場の感情に流されるてめえらと違って、後のことまで考えて行動してんだよ」
ドロシー「仲間を心配するのは当然でしょう!それに、そういうあなたはどうなんです?
冷静なエゼル達とは違って、何もできなかったようですけど?」
ミアト「ん、珍しい……。いつもなら、真っ先に、動くのに……。
ひょっとして、イヴァンが心配で、それどころじゃなかった……?」
ラルフはその問いには答えず、黙ってそっぽを向いた。
それを肯定と捉えたミアトは顔をほころばせ、ドロシーは呆れて小さく首を振る。
要するに、一時の情に流された自分を悔やんでいるのか。
心配なら素直にそう言えばいいのに。
ドロシー「ああ、おかえりなさい。どうでした?」
ソニア「銀貨と、エルフに伝わる技能を貰う約束は取り付けたよ。
あいつら、エゼルの集団みたいだったよ」
エゼル「……どういう意味かは、敢えて追及しないでおく。それじゃ、行動を開始するか」
いつの間にか眠っていたらしい。仲間の姿は既になく、
ロークからエルフの依頼を受けることになったという話を聞いた。
イヴァン「(エルフの依頼……。ドロシー達なら、大丈夫か)」
ローク「しかし、冒険者は逞しいというか豪胆というか……
仲間の君の命がかかっているのに、報酬交渉を始めた時は正直驚いたよ」
イヴァン「ああ……きっと、ソニアの仕業ですね。
エゼルかラルフも絡んでいるかもしれない」
そう言って微笑むイヴァンを見て、ロークは不思議そうな顔をした。
仲間の顔を思い浮かべながら、ゆっくりと話す。
イヴァン「冒険者っていうのは、そういうことを身に染みて知ってるんです」
ローク「……そうかもしれんな。
だから、仲間の命をあがなう銀貨一枚に、あれだけ真剣になれるのかもしれん」
イヴァン「はい。あいつらは、特にそういう人達だから」
ローク「では、さしずめ私が真剣になるべき事柄とは君の病を治すことだ」
イヴァンは黙って頷いた。
ロークや仲間達に感謝を伝えようとしたが、衰弱した身体からは言葉が出てこなかった。
一行は狂える精霊――樹木の精霊ドライアードが
歪みにのまれたものらしい――がいる領域へと近づいていた。
偵察に向かったエルフが残した道しるべを辿りながら、霧深い森の中を進んでいく。
エゼル「動物達がいない。精霊の影響で逃げだしたのか?」
ミアト「あ、あの狼達……。ここで獲物が取れなくて、出てきた……のかも?」
ソニア「そういえば、そもそものきっかけは狼退治だったね。
ひとつの依頼が終わったと思ったら、余計なものを背負い込んじゃうのもよくある話だけどさ」
ソニア「……妙だね。この辺りには道しるべがない。
代わりに、こんなものが置いてあるよ」
ソニアは木の根元に立てかけられている弓矢を拾い上げ、
仲間にも見えるよう掲げた。
ソニア「見た感じは普通の弓だし、特に魔法がかかってる様子もないね」
エゼル「わざわざここに残しておいたからには、何かしらの仕掛けがありそうなものだが」
ソニア「なんだよね。こうして、矢をつがえてみても……」
試しに矢をつがえて緩く引き絞り、不敵に笑ってこちらを見た。
ソニア「……何も起きないか」
ミアト「あ、当たり前……だと思う……」
ソニア「冗談はこの辺にしておいて。狙うとしたら……やっぱ、あっちか」
ソニアは湖に向き直って狙いを定め、対岸の木に向けて矢を放った。
すると矢の命中した木から、するすると幾筋もの蔦が伸びてくる。
そしてそれは、太く大きな緑の橋となってこちら側の岸と対岸とを繋いだ。
ソニア「こんな面倒なことをせずに、橋ぐらい最初っから架けておいてくれればいいのに」
イヴァン「(……また、例の夢か)」
フラルカ「仲間とは話せたか?」
イヴァン「ああ。――フラルカ、聞きたいことがある。
”竜熱”を治すには、どうすればいいかわかるか?」
フラルカ「竜熱……竜に戻ろうとしているきみの身体のことか。
きみは、竜にはならず人間でいたいということか?」
イヴァン「僕一人なら構わないけど、仲間が待っているんだ。今は竜になるわけにはいかない」
フラルカ「でも、きみの中の魂――精霊力とか人間が呼んでいるものは、
もう、かなり竜に近い。元に戻るのかはわからない」
フラルカは少し考えて、言葉を続けた。
フラルカ「あるいは、竜がしないようなことをして、
身体に”人間としての記憶”を思い出させればいいのかもな」
イヴァン「人間としての記憶……」
イヴァンは考えた。……もし、これがただの夢ではないとして。
このまま竜になる事だけは避けたいし、今頼れるのはフラルカしかいない。
幸いにも彼女からは悪意は感じられない。正直に話しても大丈夫だろう。
イヴァン「……フラルカ。あなたのことを聞かせてくれないか?」
フラルカ「わたしのこと?」
イヴァン「人間に戻るのに、手を貸してもらえるかどうか……、
あなたのことがどこまで信頼できるのか、それを確かめたいんだ。
それに、竜の話を聞くチャンスなんてもう二度とないだろうから」
フラルカ「……そうだな。イヴァン、ちょっと飛ぼう」
2人は、北の荒野に向かって飛んで行った。
フラルカはここで生まれ、他の竜に会うことなく一人で暮らしていた。
ある時人間に興味を持ち、人間の王国に降りて行った。
イヴァン「……それで?」
フラルカ「失敗した。人間たちは、わたしをひどく恐れた。
人間たちは弓や槍、投石機を持ってわたしを追った。――それで、私は学んだ」
フラルカ「だから、わたしは今待っている。
人間に炎を吐くのも、爪を振るうのも、好きではない……」
イヴァン「なるほど。それで、ずっとストリの山すそにも降りてこなかったのか」
フラルカ「すまない。病身なのに、長い話になってしまったな」
イヴァン「今更すぎるよ。おかげで、竜になって飛べるなんて、珍しい経験もできたけど」
フラルカ「さあ、また少し眠った方が良いかもな。
……次に会う時までに、考えておく。きみの願いを叶える方法を」
3に続きます。
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