一次創作、時々版権ネタ。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
推奨レベル4~6
「辺境の町ヘリングまで
医療品を運んでほしい。
信頼のできる冒険者を募集。」
友人をたずねる途中だ。
行きがけの駄賃にはちょうどいい。
(Readmeより抜粋)
ネタバレ・スクショ大量につきご注意ください。
またシナリオに描かれていない部分を勝手に解釈したり、
PCに対しての捏造設定も非常に多く含みます。
「辺境の町ヘリングまで
医療品を運んでほしい。
信頼のできる冒険者を募集。」
友人をたずねる途中だ。
行きがけの駄賃にはちょうどいい。
(Readmeより抜粋)
ネタバレ・スクショ大量につきご注意ください。
またシナリオに描かれていない部分を勝手に解釈したり、
PCに対しての捏造設定も非常に多く含みます。
王国外縁部の森を、人影がすべるように移動していた。
人の丈ほどある荷物を軽々と背負っている者もいた。
彼らは足早に、草を踏み分けて駆けていく。
だが伏兵に見つかってしまう。
早く切り抜けてしまいたいところだが、相手は次から次へと湧き出てくる。
ドロシー「囲まれましたか。まずいですね」
ラルフ「しゃーねえ、まとめて蹴散らしてやるか」
ミアト「(もっと穏便に進めたいのに……。この状況下じゃ無理か)」
軍馬に乗った王国騎士は冒険者の前に躍り出ると、
白く輝く長剣を抜きはらい、居並ぶ盗賊たちに切っ先を向けた。
騎士たちに弓を放たれた盗賊たちは、蜘蛛の子を散らすように森の中へ逃げていった。
エゼル「へリング領の駐在騎士か」
イヴァン「おかげで乱戦にならずに済みました。ありがとうございます」
ソニア「かっこつけたラルフの立場がなくなっちゃったけどね」
へリングまで護衛される道すがら、今回の目的について話した。
王国外縁部に盗賊が出ることを聞いたリューンの行商人が、
医療品の運搬を冒険者に依頼したのだった。
騎士たちも盗賊には手を焼いており、討伐隊を結成する余裕もないそうだ。
へリングに着いた一行は騎士たちを見送り、宿に行って依頼されていた品を届けた。
世間話ついでに、宿の亭主からトランの村について話を聞いた。
この先にあるトランの村は今の領主が森を切り開き、ブドウの農場を作り上げた。
ところが盗賊たちに農場を襲われ、今では死の村と化してしまった。
トランの領主は先の戦争で戦果を挙げた人物だが、彼も盗賊にやられたらしい。
イヴァン「……こんなホラ話、聞いても無駄だ。部屋の鍵を出してくれ」
急に不機嫌になった冒険者は立ち上がり、鍵をひったくって客室へと行ってしまった。
ドロシー「ごめんなさい。トラン領主のアルバーティ卿は……その、彼の身内なんです」
ミアト「昔、冒険者術を習った、って……。嬉しそうに話してた」
エゼル「あいつはすごい冒険者だよ。騎士になって領地まで与えられたんだから。
……で、その領主がやられたっていうのは本当なのか」
ソニア「やだなー、依頼の荷物を預けたらトランの村でのんびりしようと思ってたのに」
ドロシー「私も先の紛争について詳しいお話を聞きたかったのですが、これでは叶いそうにありませんね」
王国周辺での小国家群の紛争は長きに渡り、数多くの豪族、氏族が勃興し滅んだ。
冒険者の中には争いにおいて己の力を示し、やがて勢力を得るに至る者もいた。
トラン領主アーベル・アルバーティ卿もそのような力のある者の一人だった。
彼は平民出身だったが、長い冒険者生活の後勲功を上げて騎士となり
派遣された開拓村をその知力で守り、トランという村を拓くまでに至った。
王は彼の業績をたたえ爵位を与える。そうしてトランの村を治めることを許したのだ。
イヴァン「(あの人は父さんの代から冒険者を続けていた。
僕が宿を訪ねた時も喜んで様々な技術を教えてくれた。
そんな彼が簡単に負けるはずはない。でも、家族は……トルジェは無事だろうか。
愛娘の君を、彼は命をかけてでも守るだろうけど)」
トルジェリン・アルバーティから手紙を受けたのは、秋の初めだった。
領地での穏やかな暮らしぶりが綴られており、
また仲間を連れて遊びに来てほしいと結ばれていた。
秋も深まったころ、リューンの行商人から
治安が悪化した辺境の町に品物を届けてほしいと依頼が来た。
町からアルバーティ卿の治めるトラン高原まで、目と鼻の先の距離だ。
依頼を口実にリューンを抜け出し、懐かしい恩人に会いに来た。
そして今、一行はトランに続く森の中を進んでいる。
荷物を渡し身軽になった今、盗賊の目をかいくぐるのはたやすいことだった。
ドロシー「エゼル。トランまではあとどのぐらいですか?」
エゼル「森を抜けてしまえば早いはずだ。半日と言ったところか」
ミアト「……イヴァン、やっぱり心配?」
イヴァン「いや、大丈夫さ。無事を確かめに行くだけだ」
ミアト「……そうだね」
ソニア「村人がどこにも見えない。生き残りはいないのかな」
イヴァン「とにかく、村を見て回ろう」
家屋のほとんどは壊されており、人の姿はない。
村に1つしかないらしい礼拝堂には、傷ついた村人たちが寄り添いあってうずくまっていた。
ドロシー「いえ、私たちは冒険者です。リューンから来たんです」
村人「リューンから……じゃあ、へリングの町を通ったな。どうだ、助けは来てくれるのか?」
ドロシー「残念ですが、難しいでしょうね。あそこも盗賊退治で手いっぱいという感じでした」
村人「何てことだ!じゃあ、あんたたちは何か?俺達を助けに?」
イヴァン「いや。トランの領主アルバーティ卿を訪ねてきたんだ」
村人「お前たち、何しにこの村に来た!あの悪魔の仲間なのか!?この里をどうする気だ!」
イヴァン「悪魔?トランの領主が?どういうことだ?」
ソニア「何を怒ってるのか知らないけど、これはヤバいんじゃない?」
すぐに悲鳴の上がった方角へ行くと、裏手にある墓地に出た。
暴かれ棺が出された墓穴が無数に開いている。
悲鳴の主は村の神父らしく、聖典と聖水を手にし悪霊を退治せんと格闘していた。
イヴァン「神父は後ろへ下がって!こいつは任せてくれ」
エゼル「レイスか。たかが村の神父が、よくここまで持ちこたえたもんだな」
ドロシー「感心してる場合ですか!早く助けますよ!」
冒険者たちの反撃を受けたレイスは、霧が晴れるように消えてなくなった。
幸いにも神父に大したけがはなく、礼拝堂の奥へと案内された。
アルバーティ卿と娘のことを尋ねると、
神父はしばし黙った後「残念ながらお亡くなりになりました」と告げた。
ミアト「(村がこんな状態じゃあ、難しいとは思ってたけど)」
エゼル「残念だ、イヴァン」
ラルフ「トラン村が壊滅状態だと、へリングの町で聞いた。卿の無事を確かめに来たんだ。
一体何があったんだ?」
最近になって、へリングやトランに国境を越えてきた敗残兵が盗賊となって現れた。
領主はヘリングに呼び出され、その途中で盗賊に襲われた。
幸いにも領主は盗賊の囲いを破って逃げ延びたが、従者や娘を惨殺された。
その日以来娘の遺体と共に館に引きこもってしまい、
またへリングから大量の薬品や書物を運ばせるようになった。
領民は次第に不審を募らせていった。
そんなある時、村人の失踪事件が連続して起きた。
領主を疑った村人たちが館に押しかけ、そこで見たものは
研究室で死者の臓腑を分けている領主だった。
村人はすぐさま領主の館に火を放ったが全ては焼かれず、
美しかった農園に死者や亡霊がはびこるようになってしまった。
ソニア「じゃあ、村を襲っているのは盗賊じゃなくてアンデッドの群れなんだ」
エゼル「娘を失った悲しみに狂って、死霊術かそこいらに手を出したってところか。
……神父、しばらくこの部屋を貸してくれないか?仲間と話し合いたいんでね」
2へ続きます。
人の丈ほどある荷物を軽々と背負っている者もいた。
彼らは足早に、草を踏み分けて駆けていく。
だが伏兵に見つかってしまう。
早く切り抜けてしまいたいところだが、相手は次から次へと湧き出てくる。
ドロシー「囲まれましたか。まずいですね」
ラルフ「しゃーねえ、まとめて蹴散らしてやるか」
ミアト「(もっと穏便に進めたいのに……。この状況下じゃ無理か)」
軍馬に乗った王国騎士は冒険者の前に躍り出ると、
白く輝く長剣を抜きはらい、居並ぶ盗賊たちに切っ先を向けた。
騎士たちに弓を放たれた盗賊たちは、蜘蛛の子を散らすように森の中へ逃げていった。
エゼル「へリング領の駐在騎士か」
イヴァン「おかげで乱戦にならずに済みました。ありがとうございます」
ソニア「かっこつけたラルフの立場がなくなっちゃったけどね」
へリングまで護衛される道すがら、今回の目的について話した。
王国外縁部に盗賊が出ることを聞いたリューンの行商人が、
医療品の運搬を冒険者に依頼したのだった。
騎士たちも盗賊には手を焼いており、討伐隊を結成する余裕もないそうだ。
へリングに着いた一行は騎士たちを見送り、宿に行って依頼されていた品を届けた。
世間話ついでに、宿の亭主からトランの村について話を聞いた。
この先にあるトランの村は今の領主が森を切り開き、ブドウの農場を作り上げた。
ところが盗賊たちに農場を襲われ、今では死の村と化してしまった。
トランの領主は先の戦争で戦果を挙げた人物だが、彼も盗賊にやられたらしい。
イヴァン「……こんなホラ話、聞いても無駄だ。部屋の鍵を出してくれ」
急に不機嫌になった冒険者は立ち上がり、鍵をひったくって客室へと行ってしまった。
ドロシー「ごめんなさい。トラン領主のアルバーティ卿は……その、彼の身内なんです」
ミアト「昔、冒険者術を習った、って……。嬉しそうに話してた」
エゼル「あいつはすごい冒険者だよ。騎士になって領地まで与えられたんだから。
……で、その領主がやられたっていうのは本当なのか」
ソニア「やだなー、依頼の荷物を預けたらトランの村でのんびりしようと思ってたのに」
ドロシー「私も先の紛争について詳しいお話を聞きたかったのですが、これでは叶いそうにありませんね」
王国周辺での小国家群の紛争は長きに渡り、数多くの豪族、氏族が勃興し滅んだ。
冒険者の中には争いにおいて己の力を示し、やがて勢力を得るに至る者もいた。
トラン領主アーベル・アルバーティ卿もそのような力のある者の一人だった。
彼は平民出身だったが、長い冒険者生活の後勲功を上げて騎士となり
派遣された開拓村をその知力で守り、トランという村を拓くまでに至った。
王は彼の業績をたたえ爵位を与える。そうしてトランの村を治めることを許したのだ。
イヴァン「(あの人は父さんの代から冒険者を続けていた。
僕が宿を訪ねた時も喜んで様々な技術を教えてくれた。
そんな彼が簡単に負けるはずはない。でも、家族は……トルジェは無事だろうか。
愛娘の君を、彼は命をかけてでも守るだろうけど)」
トルジェリン・アルバーティから手紙を受けたのは、秋の初めだった。
領地での穏やかな暮らしぶりが綴られており、
また仲間を連れて遊びに来てほしいと結ばれていた。
秋も深まったころ、リューンの行商人から
治安が悪化した辺境の町に品物を届けてほしいと依頼が来た。
町からアルバーティ卿の治めるトラン高原まで、目と鼻の先の距離だ。
依頼を口実にリューンを抜け出し、懐かしい恩人に会いに来た。
そして今、一行はトランに続く森の中を進んでいる。
荷物を渡し身軽になった今、盗賊の目をかいくぐるのはたやすいことだった。
ドロシー「エゼル。トランまではあとどのぐらいですか?」
エゼル「森を抜けてしまえば早いはずだ。半日と言ったところか」
ミアト「……イヴァン、やっぱり心配?」
イヴァン「いや、大丈夫さ。無事を確かめに行くだけだ」
ミアト「……そうだね」
ソニア「村人がどこにも見えない。生き残りはいないのかな」
イヴァン「とにかく、村を見て回ろう」
家屋のほとんどは壊されており、人の姿はない。
村に1つしかないらしい礼拝堂には、傷ついた村人たちが寄り添いあってうずくまっていた。
ドロシー「いえ、私たちは冒険者です。リューンから来たんです」
村人「リューンから……じゃあ、へリングの町を通ったな。どうだ、助けは来てくれるのか?」
ドロシー「残念ですが、難しいでしょうね。あそこも盗賊退治で手いっぱいという感じでした」
村人「何てことだ!じゃあ、あんたたちは何か?俺達を助けに?」
イヴァン「いや。トランの領主アルバーティ卿を訪ねてきたんだ」
村人「お前たち、何しにこの村に来た!あの悪魔の仲間なのか!?この里をどうする気だ!」
イヴァン「悪魔?トランの領主が?どういうことだ?」
ソニア「何を怒ってるのか知らないけど、これはヤバいんじゃない?」
すぐに悲鳴の上がった方角へ行くと、裏手にある墓地に出た。
暴かれ棺が出された墓穴が無数に開いている。
悲鳴の主は村の神父らしく、聖典と聖水を手にし悪霊を退治せんと格闘していた。
イヴァン「神父は後ろへ下がって!こいつは任せてくれ」
エゼル「レイスか。たかが村の神父が、よくここまで持ちこたえたもんだな」
ドロシー「感心してる場合ですか!早く助けますよ!」
冒険者たちの反撃を受けたレイスは、霧が晴れるように消えてなくなった。
幸いにも神父に大したけがはなく、礼拝堂の奥へと案内された。
アルバーティ卿と娘のことを尋ねると、
神父はしばし黙った後「残念ながらお亡くなりになりました」と告げた。
ミアト「(村がこんな状態じゃあ、難しいとは思ってたけど)」
エゼル「残念だ、イヴァン」
ラルフ「トラン村が壊滅状態だと、へリングの町で聞いた。卿の無事を確かめに来たんだ。
一体何があったんだ?」
最近になって、へリングやトランに国境を越えてきた敗残兵が盗賊となって現れた。
領主はヘリングに呼び出され、その途中で盗賊に襲われた。
幸いにも領主は盗賊の囲いを破って逃げ延びたが、従者や娘を惨殺された。
その日以来娘の遺体と共に館に引きこもってしまい、
またへリングから大量の薬品や書物を運ばせるようになった。
領民は次第に不審を募らせていった。
そんなある時、村人の失踪事件が連続して起きた。
領主を疑った村人たちが館に押しかけ、そこで見たものは
研究室で死者の臓腑を分けている領主だった。
村人はすぐさま領主の館に火を放ったが全ては焼かれず、
美しかった農園に死者や亡霊がはびこるようになってしまった。
ソニア「じゃあ、村を襲っているのは盗賊じゃなくてアンデッドの群れなんだ」
エゼル「娘を失った悲しみに狂って、死霊術かそこいらに手を出したってところか。
……神父、しばらくこの部屋を貸してくれないか?仲間と話し合いたいんでね」
2へ続きます。
PR
この記事にコメントする
カレンダー
最新記事
ブログ内検索
P R