一次創作、時々版権ネタ。
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推奨レベル5~7
これで最後です。
今回のリプレイでやりたかったネタ(微ネタバレ)
・序盤の星読みや、星を神とする信仰とカライスとの絡み
・神木とセシルの魔力感知ネタ
・古代遺跡がらみのネタ(主に後日談の掛け合い)
ネタバレ、スクショ大量につきご注意ください。
これで最後です。
今回のリプレイでやりたかったネタ(微ネタバレ)
・序盤の星読みや、星を神とする信仰とカライスとの絡み
・神木とセシルの魔力感知ネタ
・古代遺跡がらみのネタ(主に後日談の掛け合い)
ネタバレ、スクショ大量につきご注意ください。
アイリーン達が小部屋から抜け出すと、そこは小さな広間になっていた。
エリーゼ「だだっ広い部屋ね。階段以外、特に何もないわ」
アイリーン「西方諸国の遺跡でも、よく見られるような作りだね。すごく涼しい」
フェリシャ「石造りの部屋を見て、少しほっとした。
訳の分からないものに囲まれているのは落ち着かないわ」
ルーク「そうなの?いつもなら、訳の分からないものには真っ先に飛びつくのに」
フェリシャ「確かに変わったものは好きだけど、あそこまで取り囲まれるのはちょっとね」
冒険者たちが階段を上がろうとしたその時、
彼らの鼻先に宙に浮かぶ青緑色の文字が現れた。
アイリーン「な、何これ?古代語……?」
エリーゼ「これは、幻灯機のような仕組みじゃないかしら。魔法的なものには違いないけど」
セシル「幻灯機?幻ってことかよ?……あ、マジだ。手が文字をすり抜ける」
アイリーン「害があるものじゃなさそうだね。どう、エリーゼ?読める?」
エリーゼ「うん、なんとか。……どうやら、侵入者に警告するような文面よ。
この先には財宝はない。ただ、災いがあるのみ」
フェリシャ「そりゃあ仮に財宝があるとしても、
遺跡荒らしにわざわざ教えるようなことしないだろうけど。災いって?」
エリーゼ「それも書いてあるわ。
その災いは……ええと、森から現れ、この地にある村を襲った。
それは……ええと?首を、どうにかして、五つの頭から炎の息を吹きかけた。
恐るべき再生の力を持っていて、滅ぼすことは出来ず。石化の呪いをかけ封じている。」
セシル「もうちょっと流暢に読めねえのか?」
エリーゼ「本来なら古代語の解読はあなたみたいな魔術師の仕事でしょ。黙って聞きなさい。
……封印の力は永遠、ではない。しかし永遠に近い時にわたって発揮される。
あとは、要するに、眠れる災いを呼び覚ますな、ってことが書いてある」
アイリーン「5つの頭に、再生能力。思い浮かぶ姿は1つしかない……」
セシル「だが、石化してる。この遺跡はその封印を管理するためのものだったか」
フェリシャ「それが、この先にいるのよね。気は進まないけど、行ってみましょう」
幾世紀の長きにわたり、眠り続けてきたもの……。
それを封じた古代文明が滅び、それにとって住みよかった森が茫漠たる砂と化し、
数多の生命が生き死にを繰り返す間も昏々と眠り続けていた。
四つの首は力なく床に垂れ、八つの瞳は石さながらに沈黙している。
一切の反応を示さない。
うつ伏せに倒れ伏したまま、時が止まってるようだった。
そして、今一つの首は、遥か頭上にあった。天井を破り、遺跡の外に突き出している。
エリーゼ「あの外に突き抜けている首が、ちょうどマニ村から見えていた部分ね。
建造後に突き破られたのかな……」
セシル(地上で見たあの魔力は、ヒドラの……いや、それだけじゃねえな。封印の力か?)
フェリシャ「神木と崇められていたのが、ヒドラの首だったと……?
それも、大昔にこの一帯を滅ぼしかけた……」
マヒリヤ「多くの同胞(はらから)を殺されたとて、戦いの果てに封じた相手を、
時を経た今は”神”と崇める……。
人とは、己で己を嘲るのにつくづく長けた生き物だ」
エリーゼ(……?様子が変ね。呼吸も浅くなっているし、指も震えてる)
アイリーン「マヒリヤ。聞きたいことは山ほどあるけど、まずはカライスのことだよ」
マヒリヤ「すでに用はすんだ……。そなたらの愛しい魔術師も、とうに目を覚ましておろう」
アイリーン(い、愛し……!?そんな風に見えてたのかな!?)
フェリシャ(わあ、あからさまに動揺してる。そういう意味で言ったわけじゃないと思うよ)
マヒリヤ「見よ、かの身を覆った石の呪いは剥がれ落ちた。今は生身。
大いなる神の目覚めだ……」
マヒリヤ「どうぞご覧(ろう)じませ、父上。マヒリヤはここに。
あの日の続きをとそれだけを望んでここまで参りました。
あの続きを――私を見てその後どうされるおつもりであったか、お教えくださいまし」
膨れ上がる魔力の体積に、耐えかねた天井が崩れ始めた。
降り注ぐ石の中、冒険者たちは驚くべきものを見た。
マヒリヤのつややかな小麦色の肌がたるみ、醜い皺が刻まれていく。
その顎からは歯がごっそりと抜け落ち、床を叩いて乾いた音を立てた。
銀色の髪は輝きを失い、派と同じように抜け落ちていく。
急速に老いたその相貌を隠すこともかなわない。
ヒドラを縛っていた光の鎖は放たれた。
崩れ落ちる岩の中、ヒドラは陸に上がった魚のように激しくのたうつ。
アイリーン「うわ、皆、無事!?」
エリーゼ「何とか―― 見て、あれを!」
自由の身となったヒドラは暴れだし、縦横無尽にのた打ち回った。
そして遺跡の壁に穿たれた巨大な穴に大きく身を乗り出し――
ずるり、と外へ滑り落ちた。
ルーク「マニ村の方に行ってる!」
フェリシャ「カライスがまだ1人でいるっていうのに……。あんなのが来たら、村だって……」
アイリーン「迷ってる暇はない。すぐに追うよ!階下に引き返して戻る道を探そう!」
通ってきた道とは別の道を通りながら遺跡を抜けた冒険者たちに、
ヤタが待っていたと言わんばかりに唸り声を上げた。
冒険者たちはひらりとその背にまたがる。
セシル「やっぱりマニ村に一直線に向かってやがる!」
エリーゼ「早くいかなきゃ、とんでもないことに……
できることなら、あんな厄介なのと戦いたくはないけど」
アイリーン「カライス……いくら冒険者だからといって、1人では……!」
フェリシャ「アイリーン、あなたが心配するのは当然だけど、落ち着いて手綱を持って。
しっかりして!振り落とされるわよ!」
アイリーン「っ……うん……わかった。ヤタ……どうか全力で走って……」
アイリーン(これがリューンなら、自警団や他の冒険者に頼ることもできるのに……
お願い、急いで……!)
ヒドラと向き合い武器を構える冒険者の前に、村の長がまろび出てきた。
村長「待たれよ!あれは、我らの神の落とし子……
星たる神の使わした御子にして、聖なる木なれば。武器を納められよ!」
アイリーン「長、このままでは村は壊滅する。村人を避難させて!」
ルーク「駄目だ、村人も混乱してる。
あんなの神でも神の子でもない、って言っても聞かなそうだよ」
アイリーン「このままじゃ戦えない……!どうする、ヒドラを誘い出す?」
タリア「この目で見ました。神の子と崇めていたあの木が、
うねり、とぐろを巻いて、牙を剥き……襲い掛かってくるのを。
私達が崇めていたのは、神木などではなかった。
どんなに受け入れがたくても、真実はそうです」
アイリーン(真実を受け入れる……僕が言ってたこと、ちゃんと覚えててくれたんだ)
タリア「あの血走った瞳が、神なるもののそれですか?
怒り、憎しみを宿した瞳で破壊に走る姿は?」
アイリーン「タリア。カライスは?」
タリア「先ほど意識を取り戻したのですが、
あれがやってきた混乱の最中、はぐれてしまって……」
アイリーン「そう……わかった。タリア、村人を避難させて」
セシル(なにかを……探してる……?)
エリーゼ「ちょっと!なにぼけっとしてるの!集中しなさい!」
セシル「わかってるよ! 再生能力は厄介だが、全体技で押せば十分に勝機はあるか……」
フェリシャ「や、やった……?」
ルーク「いや違うよ、よく見て!」
エリーゼ「新しい首まで……どうする……?」
アイリーン「再生能力も無限じゃないはず。戦い続ければ、いつかは……」
セシル「それまでこっちの身が持てばいいが、な」
冒険者たちを十二の瞳で睨み、ヒドラが再び襲いかかってきた!
セシル「カライス!良かった……無事で」
カライス「心配をかけてすみません。……あの再生を止めるために、仕掛けをしてきました」
ルーク「仕掛け?どんな?」
カライス「再生能力そのものは神秘でも、現実の空間に出現する首は物理法則に逆らえない。
首を落として、その跡に首の生えてこようとする力よりも大きな外力を加えればいいんです」
フェリシャ「簡単に言ってくれるね……。どうやって?」
カライス「まず東に誘導してください!ヒドラに気づかれないように、戦いながら少しずつ!」
アイリーン「わかった、やってみる!」
アイリーン「ねえ、さっきより強くなってない?」
セシル「首が増えたんだから当たり前だろ」
アイリーン「それはそうだけど!なんだか、さっきまでとは違うような……」
ルーク「一度やられたから、怒ったんじゃない?」
カライス「まずは倒しますよ!やられたら負けなんですから、気を引き締めて!」
アイリーン「あとは最後の首を落とせば……!よし、動かなくなったよ!」
カライス「今です!あの岩棚の、印の部分を!」
カライスの差す方向には、岩がうず高く積み上げられている。
その中心に印がつけてあった。
アイリーン「わかった……って高い!届かないよ!?」
セシル「任せろ、『鋼鉄の矢』!」
エリーゼ(あんな奴に一番いいところを持っていかれるなんて……!)
アイリーン「数世紀もの間、生きていたんだ。
このままにしておけば、またいつ息を吹き返さないとも限らない。
……燃やす、か。火はある?」
松明を手渡されたアイリーンが、砂ぼこりにまみれたヒドラの体に近づける。
炙るように火にさらしても、その体には焦げ目ひとつつかない。
セシル「火にまかれても、全く変化がねぇ……。
死んで、力を失ってるのならこうはならねぇはず。やっぱり、まだ生きてやがる」
カライス「……。あの。マヒリヤは……?」
エリーゼ(そういえば見ていなかったけど……
あの天井の崩落から、逃れられたとは思えないわね……)
問われたエリーゼは、黙って首を振ることで答えた。
その瞬間、その場にいた誰の目にも、岩下のヒドラの体が大きく跳ねたように見えた。
その一瞬のあと――
アイリーン(どんな魔術をもってして、ヒドラの体を葬ったんだろう?
何か呟いていたように見えたけど……)
アイリーンは問いかけようと、いまだヒドラのいた場所で
風に髪をなぶらせている立ち姿に目をやった。
が、すぐに言葉は飲み込まれた。
名状しがたい感覚に捕われ、その面差しに魅入っていると、
ふいに世界に柔らかな光が差した。
カライスが、村の人々が、砂漠が、朝の光に白く明るく照らされる。
戦いの最中に、すっかり夜は明けた。
エリーゼ(……あら?カライスのフード、外れてるわよね。いいのかしら)
フェリシャ(いいんじゃない?村人達は誰も気づいてないみたいだし。
おまけに、アイリーンはすっかり見とれちゃってるし。邪魔をするのも悪いわ)
アイリーン「――ねえ、なにか知ってるんでしょ?」
カライス「さあ、なんのことです?」
アイリーン「とぼけないで。村人の要請に答えてマヒリヤの遺体を担ぎ出してきたのはまだしも、
マヒリヤとヒドラを一緒に弔うように進言したのは?なにか意味があるんでしょう」
カライス「……。 臥せっている間、夢でマヒリヤの記憶を共有しました」
アイリーン「夢……記憶を共有?」
カライス「マヒリヤの術のせいか、眠れるヒドラの力によるものか、わかりませんが。
夢で見た事は、この現実と整合性があります。
夢の中で……幾世紀を生きました。マヒリヤとして。
彼女はヒドラと、人間のあいの子らしかった」
アイリーン「そんな馬鹿な。 あなたを疑うわけじゃないけど、あり得るの?」
カライス「自分の体験がなければ、信じなかったかもしれません。
けど、失われた古代文明期よりの神秘の存在です」
カライス「彼女は、古代王国の施したヒドラの封印を解くために動いていた。
あの施設を破って、ヒドラのところまで自由に行き来できるようになるまで半世紀、
ヒドラの封印の詳細を解き明かすのに三世紀。
焦ってはいませんでした。なにしろ不老の体で、時間だけはたくさんあったから」
アイリーン「彼女が数世紀かけて実現しようとしてきたヒドラの復活と、
僕たちの来訪がたまたま重なったの?」
カライス「私達が来たことで、幾月か早まりました。いずれは同じでしたけどね」
他の仲間達も、タリアと共に戻ってきた。
カライス「タリア。ずっと介抱してくれたんでしょう。手間をかけてすみませんでした。
それと……少し、いいですか」
カライス「……真実の形とは、一つではありません。
貴方はあのヒドラの姿を見たとき、こう言いましたね。
血走った瞳。怒りや憎しみに駆られた瞳と。
同じとき、私がそこに見ていたのは、今にも泣きそうな必死さを宿した瞳でした」
タリア「…………」
カライス「貴方が見たヒドラと、私が見たヒドラと。
どちらが正しいのか、どちらも正しくないのか、誰にも分からない。
誰にもわからない、誰にも証明できないものを、果たして真実と言えるでしょうか?
同じものを見ていたとしても、ヒトの目と心を介した時点で、
それは唯一の真実たりえなくなる。恣意的に歪められ、私的なものになるんです」
タリア「では、カライス。人である限りはいかなる真意にも辿り着けないと?」
カライスはその問いに直接は答えず、こう言った。
カライス「私のようなものは、夢見るんです。完全なる純度を持つ真実に触れる夢をね」
アイリーン「……ちょっと。聞いてたでしょ」
カライス「ああ、うん。タリアがヒドラに向かって矢を放った時に会話が――」
アイリーン「そうじゃないよ。分かってるくせに。盗み聞きも真実の探求の一環なの?」
カライス「すみませんね。夜の砂漠は声が通るんですってば。
祭りの夜だっていうのに、ふらふら一人で歩いて行くから悪いんです」
フェリシャ「ねえ、そろそろ出発するわよ。冷え込んできたから」
一夜をヤタで駆け抜け、一夜を馬で駆け通した冒険者たちを待っていたのは、
拍子抜けするような状況だった。
エリーゼ「解せないわね。聖北教会と賢者の塔は、それぞれ独立した組織でしょう?」
依頼人「エリーゼ殿。どうかお察しください。過去を、真実を恐れる者はどこにでもいるのです」
カライス「貴方自身はどうなんです。私が見聞きしたものは、
貴方が喉から手が出るほど欲しがっていたそれかもしれないんですよ」
男はせわしなく服の襟をかき合わせた。
そして呟いた、もう少し若かったらと。
予定通りの報酬を受け取った冒険者たちは、久しぶりのリューン市街を歩いた。
ルーク「僕は逃げだと思うけどなあ。歳のせいなんて。」
エリーゼ「逃げだなんて、承知の上なのよ。
……歴史の影に消えた民の行方を知るのは、私達だけか」
アイリーン「まあ、いいんじゃない。
マニ村のことが公になって、西方諸国から人がやってくるようなことになったら
良くない結果を引き起こすかもしれない」
セシル「そうだな。奴らはあそこで何世紀も平和に過ごしてきた。
こちらの世界と離れるための移民だったんだし……」
カライス「…………」
アイリーン「……カライス?」
何かに吸い寄せられるように足を止めて振り返ったカライスを仲間が気遣う。
カライスの視線の先を負うが、軒先で洗濯物が翻る家々が連なるだけであった。
リューンの街並みの向こうにカライスが幻視したのは、何であっただろうか。
それには議論の余地がある。
あるいはそれは、このような光景だったかもしれない。
・後日談
セシル「……で、今まで見た事ないぐらい発達した古代遺跡を見つけたってわけだ」
ルーク「すごかったよね。材質は見当もつかないし、松明もないのに明るかったし」
ウォルト「砂漠のただなかにそんな施設が?すごいな、もっと詳しく教えてくれよ!」
ルーク「上下に動く小部屋とか、あとは宙に浮いてる文字も見たよ。あと、機構の兵士もいたっけ」
セシル「あん時はうちの参謀がいなかったし、調査は賢者の塔に任せるつもりだったから
……そういや、詳しいことは分からずじまいだな」
ウォルト(小部屋はエレベーターだとして、宙に浮く文字は何だ……?
こいつらの話はいまいち要領を得ないが、相当発達した基地らしいのは確かだな)
*このシナリオは1人用シナリオ
「今度の奴らは群れで来る」「追い求めた先には」とクロスオーバーしています。
両方をプレイ済みのPCがいると会話が変わるとか。
どちらもウォルトでプレイしましたが、クロスオーバーの元ネタらしいシーンも見つけました。
PCの性格や設定が限定されるためかなり人を選ぶシナリオですが、
どちらも面白かったです。主人公マジ不運
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