一次創作、時々版権ネタ。
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推奨レベル5~7
今回のリプレイは5分割になります。最初に言うべきだった。
元が長編なのと、なるべくシナリオの雰囲気を壊さないように
台詞を削らず書いていったら恐ろしい長さになりました。
短くまとめられるようになりたい。
ネタバレ、スクショ大量につきご注意ください。
今回のリプレイは5分割になります。最初に言うべきだった。
元が長編なのと、なるべくシナリオの雰囲気を壊さないように
台詞を削らず書いていったら恐ろしい長さになりました。
短くまとめられるようになりたい。
ネタバレ、スクショ大量につきご注意ください。
峻厳なる山々が連なり、果てない砂漠を睥睨している。
山の頂には、不思議な形に曲がった木のようなものが鎮座している。
エリーゼ「あの頂上に見えるのが”神木”?おかしな形に曲がった木ねぇ。
生態系が異なる砂漠らしいといえばらしいかな」
セシル「何だよあれ……おい、カライス」
カライス「…………」
アイリーン「……カライス?大丈夫?」
カライス「……う、ううん……一瞬、めまいがした……。
疲れてるのかな。もう大丈夫です」
アイリーン「ひどいようなら天幕で休むんだよ。 ……ん?あれは……」
フェリシャ「わ、ちょっと、足に蛇が」
カライス「大丈夫、毒のある蛇ではありません。魔術師学連でよく使われるものですから」
エリーゼ「魔術師学連でも蛇が?初耳ね。
盗賊ギルドでは毒蛇から毒液を抜くなんてのは日常茶飯事だけどね」
カライス「そんな物騒なのと一緒にしないでくださいよ。
この蛇は、ただの動物じゃなく妖魔の血が入ってるんです」
セシル(っていうか、あいつ学連にも出入りしてるのか)
フェリシャ(エリーゼ、盗賊ギルドにも行ってるんだ。危ないことに巻き込まれなきゃいいけど)
カライス「魔力を嗅ぎわける特性を持っているんです。
もっとも最近は数が減ってしまったから、野生のものには滅多にお目にかかれないですね」
エリーゼ「へえ、どうりで見たことないと思った。けど、あなたにすり寄っていったってことは……」
アイリーン「あなたは……?」
マヒリヤ「名はマヒリヤ。村では祈祷をよくする。
神木のためにおいでか。よくご覧(ろう)じろ、村より遥かに長くを生きている。
民は神の目として崇めている。多少であれ魔法に親しかれば、あれの持つ力を感じていよう。
もっとも、蛇に好かれる魔力の持ち主は感じすぎて参っているようだが」
セシル「やっぱりな……」
フェリシャ「え、えっ?何が?あの木がそんなにすごいものなの?」
アイリーン「……神木、か。僕達にはなじみの薄い風習が、この村にはたくさんあるみたいだね。
あなたが、この村のことを最もよく知っていると聞いたんだ。
村の成り立ちや文化に興味があるんだけど……」
マヒリヤ「昔語りは好かぬ」
アイリーン「……行っちゃった。あの祈祷師、取りつく島もないね。話を聞くのは難しそう」
エリーゼ「いいんじゃない?有益な話が聞けると決まっているわけでもないし。
仲良くしたい手合いじゃないわ」
どの人も頭を垂れてしずしずと進み、
その歩みには他者が声をかけることがためらわれるような厳粛さがある。
彼らに待貰えるようにして、手製の担架のような代物で
まぶたを閉じた壮年の男性が運ばれていた。
エリーゼ「……あの人、亡くなってる。そういえば葬儀があるって言っていたっけ」
突然、黒い影がエリーゼの鼻先をかすめ、西の空へ飛びあがっていった。
力強い幅滝に合わせ、抜け落ちた羽根が木の葉のように舞う―― 鳥だ。
「星たる神、そして神の御許を追いやられし贖罪の鳥よ。
今また我らの魂がひとつ、飛び立ちます。運ぶ鳥の、古の罪をもお許しくださいますよう。
巡り巡って魂が再びこの地へ降りたたんことを。
魂は巡る。星たる神に見守られ、鳥によって運ばれ、因果と理を仰ぎ見て大地へと帰ってくる……」
人々も亡骸に駆けつけ、優しく声をかけたり、その体を撫でさすったりした。
亡骸は民に見送られ、に、三人の手によって担がれ、運ばれようとしていた。
鳥たちが待つ、山の下腹の岩棚へ。
セシル「何をしようとしてるんだろうな?あれじゃまるで……」
カライス「鳥に捧げる葬儀、か。……何かで読んだことがあります。
死体を野山にさらして、鳥に供す風習……。彼らの先祖の話かもしれませんね」
アイリーン「きっと彼らは心から、鳥が魂を運ぶと信じているんだろうね。
彼らにとってそれが真実なら、確かに魂は鳥によって運ばれるのかもしれないよ」
エリーゼ「そうかしら。私には、野蛮な儀式にしか見えないわ。
こういうところが、かつて教会に異端として迫害された要因なのかもしれないわね」
カライス(星を神と崇め、自然と共に生きる宗教、か。確かに教会やその信者は嫌いそうな話だ)
アイリーン「……さて、依頼はこれで達成だね。一次調査としてはまあ悪くないんじゃないかな」
セシル「タリアに挨拶して、帰る算段でもつけるかね。
葬儀で見かけた気がしたんだが、どこにいきやがったかな」
エリーゼ「もう村に戻ってるかもしれないわ。私達も行きましょうか」
アイリーン「……ねえセシル、さっき『やっぱり』って言ったよね。
あの神木について何か知ってるの?」
セシル「むしろこっちが聞きてえよ。……てめえは何も感じなかったのか?」
アイリーン「何が?変わった形だな、ぐらいにしか思わなかったよ」
セシル「あの祈祷師も言ってたが、あれには異常な魔力が流れてる。じっと見てたら左目が痛くなった」
アイリーン「左目?……あ、そうか。セシルには魔力が見えるんだっけ」
セシル「カライスは魔力が強いし、おまけに人間じゃねえからな。余計に影響を受けちまうんだろうよ」
アイリーン(そういえば、ここに来てから様子がおかしい。あの神木と関係があるのかな)
セシル「てめえぐらい鈍けりゃ平気だろうが、あれには無意味に近づかねえほうがいいぞ」
アイリーン「に、鈍いは余計だよ! でも、念のために気を付けるよ。ありがとう」
集落に戻り、タリアの姿を探す。彼女はヤタの放牧場にいた。
アイリーン「僕たち、そろそろ帰ろうと思ってるんだけど……、そのヤタは?」
タリア「体調が思わしくありません。
先日他のヤタが風邪をひいていたので、伝染ってしまったのでしょうか。
エルアイの涙を取りに行く心づもりでしたが、これでは」
フェリシャ「エルアイの涙って?」
タリア「弔いの儀の後に行われる宴で必要な果実です。
エルアイの涙がなければ宴は成り立ちません」
アイリーン「よくわからないけど、大事な物なんだね。一人で取りに行くつもりだったの?」
タリア「はい。弓の覚えがあり、ヤタの放牧で砂漠に慣れたわたしが行こうと思っていたのですが……」
フェリシャ「そんなの危ないよ!ねえアイリーン、私たちが代わりに行くのは駄目かな?」
アイリーン「彼女にはお世話になったし、助けてあげたいんだけど……」
セシル「依頼の期限には、まだ余裕があるな。でもこれは純粋な頼み事だ。対価は期待できそうにねえぞ」
カライス「いえ、あながちが得がないわけじゃないと思います。
果実とやらを持ちかえれば、宴が開かれるんでしょう?
鳥葬と合わせて、彼らの宗教観を知る手掛かりになる手掛かりになる催しです」
エリーゼ「それも調べて依頼人に知らせれば報酬に跳ね返る可能性はある、と。あなたらしい考え方ね」
アイリーン「困っている人を放っておくのも僕の性分に合わないし。わかった。行ってくるよ」
ヤタを借り受け、果実が実っているという西の方角を目指す。
一夜以上を費やして進み続け、それらしい灌木を見つけた。
エリーゼ「あれかしら。すぐ取ってくるから、皆はそこで待ってて」
エリーゼが灌木のそばに近づくと、地中から手の形をした妖魔が這い出してきた!
エリーゼ「わっ、な、何よこれ!」
セシル「おいエリーゼ!手は自由なんだから、そいつを叩き落とすことに集中しろ!」
アイリーン「うわ、僕らもすっかり囲まれてるよ!」
カライス「あの人が調査を怠るなんて珍しい。帰ったらエールを奢ってもらいましょうか」
周囲を取り囲んだ妖魔を追い払う頃には、エリーゼも抜け出してパーティに戻っていた。
エリーゼ「今回ばかりは私の落ち度ね。悪かったわ」
フェリシャ「……ところで、あの祠は何なのかな?ほら、灌木からもっと左の」
アイリーン「行ってみようか。少しぐらい寄り道したって平気だよね」
エリーゼ「天井をはじめとして、だいぶ風化している。いつだれが建てたものかしらね……。
奥に石版らしきものがあるわ。カライス、読める?」
カライス「……これ、古代共通語によく似てる……いえ、同じものですね。
文字の形は知っているものと少し違うようですけど」
セシル「マニの民の先祖である、移民が彫ったものなんだろうな。なんて書いてあんだ?」
アイリーン「民の血は耐えることなし、か。決意表明のようなものかな?
砂漠に追放されたけれど、滅んだりはしないぞっていう」
カライス「……山頂に座す巨木……。これが彫られた時には、あの巨木はすでに……。
あれがただの木だとして、樹齢は一体いくつになるのだろう……」
セシル「カライス、なにぼそぼそ言ってんだ?」
カライス「――あ、うん。何でも。 ……今の段階では、ただの違和感にすぎませんし」
村に戻り、タリアにエルアイの涙を渡した。
タリア「あなたがたに感謝します。よろしければ、どうぞ宴にもお越しください」
カライス「宴ですか、いいですねぇ!参加させてもらいましょうよ。
一晩くらい騒いでもバチは当たらないでしょう」
セシル「普段は真面目ぶってるくせに、お祭り騒ぎは好きだよな……」
ルーク「賢くって丁寧な喋り方だからそう見えるだけじゃない?
喋り方さえ除いてしまえば、陽気でお金にうるさいただの冒険者だよ」
カライス「あなたもさりげにひどいこと言いますね」
フェリシャ「宴は私も興味あるな!タリアもこう言ってくれてるし、みんなでお邪魔しようよ」
アイリーン「滅多にない機会だしね。ありがとうタリア、天幕で少し休ませてもらってからいくよ」
3に続きます。
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