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一次創作、時々版権ネタ。
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推奨レベル3~4 6人専用
ホラー系探索シナリオ。
時限式の脱出ゲームです。
よほどのことがない限り時間切れにはならないと思いますが、
時間が経つほどあとあと不利になります。
ヒントはそこそこ多いので、苦手な人でも何とかなるかと。

ネタバレ、スクショ大量につきご注意ください。

依頼の帰り道。街路から遠く外れた道程の中、重く黒ずんだ空から雨が降ってきた。


アイリーン「(……噛んだ?)」
フェリシャ「雨は、しばらく止みそうにないしね」
エリーゼ「今日は先へ進むのは諦めて、日が暮れる前に雨宿りできそうな場所を探しましょうか」
アイリーン「(誰も気づいてない……)そうね、行こう」

雨の中をしばらく歩き、一行は古びた洋館を見つけた。
外観はところどころ欠け、塗装も剥げていたが
室内は予想に反してまだ綺麗だ。
少々埃っぽいが、一晩の宿としては上出来だろう。
冒険者たちは各々携帯食で腹を満たすと、
部屋数もあるのだからと、各自個室で休むことに決めた。


アイリーン「まだ休むには早いし。適当にぶらぶらしようかしら」

アイリーン「ここは書斎かな?」
セシル「みたいだな。埃被ってっけど、なかなか立派な部屋じゃねえか」

セシル「しねーよ。どれもヒビや欠けがあるからな。二束三文にしかならねえわ」
アイリーン「価値があったら盗んで売るつもりだったの?盗賊みたいな真似しないでよ」
セシル「いちいち細けぇな。遺跡を探索して金目の物持って帰るのと同じだろうが」

アイリーン「こっちは礼拝堂か。家主は相当信仰心が高かったのね」
ルーク「でも、ちょっとおかしいんだよね」

アイリーン「気にしすぎだよ。あなたも祈っていく?」
ルーク「ジョーダン。祈ってどうなるっていうの」
アイリーン「それはそうだけど……。ところで、他の仲間はどこか知らない?」
ルーク「カライスは浴室に行くって言ってたよ。風呂場なんて掃除しないと使えないだろうけど……。
エリーゼとフェリシャは2階じゃない?」
アイリーン「そっか、ありがとう。2階も見てくるわ」

アイリーン「(2階は客室と、僕が借りた部屋と……ここは図書室?)」

アイリーン「金があるところにはあるってことね。羨ましい」
エリーゼ「そう僻まなくてもいいじゃない。暇つぶしに1,2冊頂戴しようかしら」
アイリーン「(エリーゼが自分から本を読むなんて珍しい。よっぽど暇なんだね)」
エリーゼ「そうだわ、フェリシャ見なかった?」
アイリーン「いいえ、2階にいるって聞いたけど。来てないの?」
エリーゼ「なら部屋に戻ったのかしら。あの子の部屋、確か3階だったわね」

アイリーン「(3階も見に行こうかと思ったけど、戻ってくるのも面倒ね。
フェリシャの様子は気になるけど、大した危険もないだろうし。そろそろ寝よう)」

アイリーンは借りた部屋に戻り、簡単に寝床を整えた。
耳を澄ませば聞こえてくる雨音は相変わらずの激しさで。
どうか明日は晴れてくれよと願いながら、アイリーンは深い眠りに落ちていった。

どれぐらい時間がたったのか、物音でふと目が覚めた。
念のため外の様子を見ようとドアを開けた途端、
全身が嫌な感覚に包まれた。




アイリーン「(僕の勘だけど、この屋敷は危ない。ここにいてはいけない。
得体の知れないものがいる気がする。仲間を起こして脱出しないと!)」

2階は客室が3つと図書室があるが、どの部屋にも誰もいない。
エリーゼがいたはずの図書室には、古代語辞書が落ちているだけだった。
3階も客室が3つあるが、いくつかのドアに鍵がかかっている。
ここに泊まっているはずのフェリシャも姿が見えない。
アイリーンは、手近な空いている部屋に入った。



アイリーン「ここは遊戯室か。子供用の部屋って感じね。
……ん?あの真ん中にある胸像、どこかで見たことあるような……」



アイリーン「!? 館にいる何かよりも、恐ろしい声を聞いた気がする」

気を取り直して、何か役に立ちそうなものがないか探す。

アイリーン「縫い針が落ちてる。器用な人なら、これで鍵を開けられるかもしれないけど。
うーん……エリーゼなら役立ててくれるかな。念のために持っていこう」

1階は。浴室とダイニング、書斎と礼拝堂がある。
寝る前には開いていたはずの書斎と礼拝堂に鍵がかかっていた。

アイリーン「(セシルとルークがいるかと思ったけど、駄目みたいだ。
あっ、でもカライスは浴室に行ったと言ってたわ。まだいるかな?)」




アイリーン「(やっぱり、何かおかしい感じがする。早く皆と合流しなきゃ!)
ねえ、カライス!……カライス?」




アイリーン「ねえ、しっかりしてよ!いったい何がどうなってるの!?」

これでは館を脱出するどころか、一緒に行くこともできそうにない。
虚ろな目をしたカライスをそのまま残し、ひとまず部屋を出た。



アイリーン「こっちはダイニングね。目につくものと言えば、水桶とオルゴールかな。
……あっ、鍵が落ちてる。これは、書斎の鍵か」

書斎にはセシルがいたはずだ。
彼の無事を祈りながら、書斎の鍵を開ける。





意味の分からないことをまくし立てて、セシルはあわただしく出ていった。

アイリーン「やっぱりあいつも……。何がどうなってるの?」



アイリーン「動かせない瓶か。遺跡なら、これに何かをすれば道が開くんだけどな……。
例えば瓶を捻ると仕掛けが動くとか、水をいっぱいに入れればその重みでスイッチが入るとか」

まさかそんなことはないだろう、と思いながらも駄目もとで実行することにした。
ダイニングにあった水桶から水をくみ、瓶に入れる。



アイリーン「……あれ?もしかして、中に何か入ってる?もっと水を入れれば取れるかも」

しばらくダイニングと書斎を往復し、水汲みを続けた。
何度めかの水を注ぐと、中の物が手の届くところまで浮き上がってきた。

アイリーン「これは、礼拝堂の鍵?
あそこにはルークがいたはずだけど、この調子じゃあの子も……」

湧き上がる不安を押し殺して、礼拝堂の鍵を開けた。

アイリーン「ルーク、大丈夫?そこにいるの?」
ルーク『……!!いや、来ないで!こっち来ないでっ!』



慌てて廊下に飛び出すと、大きくため息をついた。

アイリーン「(皆、何かに憑りつかれてるとしか思えない。いずれ僕もああなっちゃうんじゃ……?
この侵食するような嫌な感じはその前兆……?)」

ぞくりと寒気がした。
恐怖がこみあげてくる。だが、こんな時こそ冷静にならねば。

アイリーン「単純に屋敷から出ていけばいいと思っていたけど、状況はすでに変わってる。
ここを脱出するだけじゃ駄目だ。元凶を絶たないと、おそらく皆は元に戻らない。
……今、皆を助けられるのは僕だけ。
リーダーとして、冒険者の誇りにかけて!必ず皆を元に戻す!」

決意を新たに歩き出したアイリーンの足元に、何かが当たった。



アイリーン「どこからか落ちたのかな。……まあいいや。
神様はまだ僕を見放してはいないみたいね」

戸棚のあった遊戯室まで戻ってきた。

アイリーン「戸棚の中身は……と。なんだ、ぬいぐるみしか入ってない。
何か刺繍してある。ええと、Lliy……リリィ?
持ち主の名前かしら。……あれ?どこかで聞いたことあるような……」

ぬいぐるみを片手に部屋を出ようとしたが、ドアが開かない。
慌ててドアや周辺を調査したが、変わったものはない。
鍵らしいものも落ちていない。

アイリーン「こんなところで時間を使ってる余裕はないのに!
そうだ、さっき拾った縫い針で鍵を……いや、さすがに無理か。
よし、何か見落としてるかもしれないし、もう一度部屋を調べてみよう。」



アイリーン「あれ?この人形、手触りが何かおかしいような……。
そうだ、縫い針でつついてみよう。
他人のものだけど、ちょっと穴開けるぐらい大丈夫だよね」




アイリーン「!!に、人形から血が……っ!?何がどうなってるの!」

思わず人形を投げ捨てそうになったが、引き裂かれた綿の間に光るものが見えた。
恐々ながら引きずり出してみると、地下室の鍵と書かれている。

アイリーン「地下室?さっき見た時はそんなものなかったように思ったけど。
どこかに隠し扉でもあるのかな?」

いつのまにか、遊戯室のドアもあいている。逃げるように3階を後にした。

少しずつ、浸食されていくような感触がひどくなっていく。
恐怖に負けないよう気を強く保ちながら地下室を探して回ったが、
やはりそれらしいものは見当たらない。
最後の部屋、礼拝堂のドアに手をかける。

アイリーン「ここはルークがいるから行きたくないんだけど、そうも言ってられないわ。
大人しくなってればいいんだけど」




アイリーン「これ、あなたのぬいぐるみだったの?……はい、どうぞ」

ぬいぐるみを渡すと、いくらか落ち着いてくれたようだ。

アイリーン「あなたがリリィ?ここで何をしていたの?」
ルーク『隠れてなさいって言われた。おねえちゃんが、ここで隠れてなさいって。
ママがおかしくなっちゃったから、ママを見かけても出ていったら駄目よって』
アイリーン「ママはどうかしたの?」
ルーク『……。ママはご病気で、もうずっとずっと会ってないの。
パパはママの病気はもうすぐ治るって言ってたのに……』
アイリーン「(まるで、幼い子供みたいな話し方ね。事情が全くわからないわ)」




願いと寝室の鍵を託して、リリィ(の幽霊?)は消えてしまった。

アイリーン「何かに憑かれている、という僕の推測は正しいみたいだね。
たぶん、この屋敷で何かがあったんだ。
でもそれが何なのか全く見えてこないし、ママを見つけてって言われても……」



アイリーン「ルーク、起きて。……ああもう、この、起きなさいったら!」
ルーク「いっってえええええ!!ちょっと!なんで殴るのっ!?」
アイリーン「よかった。元に戻ったみたいね」
ルーク「な、何の話?それに僕はなんでこんなところにいたんだろ?」
アイリーン「歩きながら話すよ。とりあえず立って。先に進もう」


2に続きます。
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